「11gは顧客最優先版」――日本オラクル、Oracle DB新版のメイン機能を説明――国内出荷日は、Linux x86版が10月23日に決定
米国Oracleの創業30周年という節目の年に出荷されるOracle Database 11gを同社は、「リアル・カスタマー・リリース」と表している。日本オラクル代表取締役社長の新宅正明氏は、「11gは、顧客のバリューを最優先したリリースである。システムの構築から運用まで、トータルでかかるコストと作業負荷を削減することを主眼に開発した」と述べ、新版で特に強化された機能群として、自動管理、システム変更に伴うテスト工数の削減、ストレージ・コスト削減の3つを挙げた。
「11gは、大規模ユーザーだけにメリットがもたらされるのでは決してない。Oracle Databaseを核とした業務システムを構築し運用するすべてのユーザーに対してバリューを提供しようとしている」と新宅氏は語り、新版の国内投入で、あらゆる規模・業種において市場シェアの向上を目指していく構えを示した。
11gに備わる主要な機能の説明を担当したのは、同社常務執行役員システム製品統括本部長の三澤智光氏である。「顧客のITに対する課題を積極的に取り入れて完成したリリースであり、日本の顧客からの要望も多く反映されている」と同氏は述べ、リアル・カスタマー・リリースのコンセプトを具現化する新機能について説明した。
三澤氏は、システム変更に関する課題として、本稼働前のテストが不十分あるいはテスト自体を行えないことが原因で引き起こされるシステム障害の発生やシステムの“塩漬け”といった問題を取り上げた。また、テストを行う予算を確保している企業においても、それに要する工数・期間の増大から、運用管理コストが跳ね上がっている点を指摘した。
そして同氏は、深刻化するシステム変更にまつわる問題を解決する機能として、11gに備わる「Real Application Testing」を挙げた。これは、本稼働で発生したワークロードをすべてキャプチャし、それをシステム構築のテスト環境で再現する機能である。「擬似的なワークロードではないので、テスト漏れのようなトラブルを回避でき、例えば従来、ワークロードの作成に120日かかっていたのが2日に短縮される」(三澤氏)
続いて紹介されたのは、11gの「Oracle Data Guard」に追加された「Snapshot Standby」機能だ。Data Guardは本来、ディザスタ・リカバリのためのスタンバイ・データベースを構築するための機能だが、三澤氏はこの機能を低コストで構築・実行可能なテスト環境として利用するケースを示した。「Data Guardの新機能によりユーザー企業は、多額を投じて構築したバックアップ・サイトを、災害発生時など限られたときだけではなく、テスト環境としても利用できるようになる。これは、運用管理コストの削減に大きく貢献する」
三澤氏の説明の大半は、システム変更に関する課題を解決する上記2つの機能に費やされたが、このほかにも、RDBMSデータのILM(情報ライフサイクル管理)を実現するパーティショニング機能「Oracle Partitioning」、ストレージ・コストを削減するデータベース圧縮機能「Oracle Advanced Compression」などにも触れ、それらが11gでは大幅に強化されたことを、旧版と比較した数値を示しながらアピールした。
発表会では、11gの国内出荷時期と価格が正式に発表された。まず、今年10月23日にLinux x86版のみが出荷され、他のOS版はすべて2007年内に順次出荷される(HP-UX Itanium版、HP-UX PA-RISC版、AIX 5L版、Linux x86-64版、Windows 32ビット版、Windows x64版、Solaris SPARC版)。
11gの価格は「Oracle Database Enterprise Edition」のNamed User Plusライセンス(最少25ユーザー)が10万円、プロセッサ・ライセンスが500万円。「Oracle Database Standard Edition」のNamed User Plusライセンス(最少5ユーザー)が3万7,500円、プロセッサ・ライセンスが187万5,000円。そして、エントリー向けの「Oracle Standard Edition One」のNamed User Plusライセンス(最少5ユーザー)が18万600円、プロセッサ・ライセンスが62万4,400円となっている。
(河原 潤/Computerworld)
日本オラクル
http://www.oracle.co.jp/
提供:Computerworld.jp