イベントリポート:Interop Tokyo 2007──Interop Award受賞製品

 Interop Tokyo 2007のリポート第3弾。本稿では、今回Interop Awardを受賞した製品を紹介する。

評価関連製品

 まずは、評価関連製品部門で特別賞を受賞した富士通九州ネットワークテクノロジーズの「Next Stream SP」(写真1)から。レイヤ2(Ethernet)レベルのネットワーク試験装置で、レイヤ2の保守プロトコルであるEther OAMに対応した製品だ。

 Ether OAMのコマンドを用いた試験やキャプチャ/モニタができるだけでなく、1ポートを複数のMEP(Maintenance entity group End Point)もしくはMIP(Maintenance entity group Intermediate Point)として動作させることで、実環境に近いかたちでの対向試験が行える。遅延やロスト、機器の動作異常などをエミュレーションをする機能を備えているため、障害発生時の動作検証にも有効だ。通信機器ベンダーが製品開発する際やキャリアがネットワークを構築する際に使用することが想定されているが、運用時の監視にも使えるという。

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写真1:Next Stream SP(クリックで拡大)

 NGNの運用が開始されるとVPNとして広域Ethernet網の利用が拡大すると見られているが、もともとLAN技術として生まれたEthernetにはATMなどの広域網用技術で規定されているような試験機能が定められていない。そこでEther OAMが策定されたわけだが、この仕様にいち早く対応したことや上述のような高度な試験機能を備えていることがNext Stream SPの受賞理由となったようだ。

セキュリティソリューション

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写真2:パーソナルアクセスソリューション(クリックで拡大)

 富士通はセキュリティソリューション部門でも「パーソナルアクセスソリューション」が特別賞を受賞(写真2)。一見、単純なUSBメモリ型の指紋認証装置だが、指紋認証とメモリ内のシリアル・キー、それにPCの構成情報を基にした環境認証の3つを使ってユーザー認証が行える。これらの認証方式を組み合わせることにより、例えば、業務システムへの接続は会社のPCからだけ許可するなどの利用シーンに合わせた操作メニューを提供することができるという。

 USBメモリ内にブラウザなどのアプリケーションを格納できるので、不特定のPCをキャッシュから個人情報や機密情報が漏れたりすることも防げるし、用途に合わせたカスタマイズもしやすい。認証機能を必要とするさまざまなソリューションの開発に利用できるシステムと言えるだろう。ちなみに現在の対応OSはWindows XPのみとのことだが、Vistaへの対応も進めているそうだ。

ネットワークセキュリティ製品

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写真3:Cisco ASA 5505 適応型セキュリティアプライアンス 8.0(クリックで拡大)

 ネットワークセキュリティ製品部門ではCisco Systemsの「Cisco ASA 5505 適応型セキュリティアプライアンス 8.0」が特別賞を受賞(写真3)。在宅勤務者の自宅に設置するようなケースも想定して開発されたコンパクトな筐体を持つセキュリティアプライアンスで、最大3つのVLANに接続することができる。例えば、プライベート用、会社用、インターネット接続用などのように用途ごとにVLANを構成することが可能だ。

 なお、ASA 5500シリーズはファイアウォール、IPS(侵入防御システム)、ウイルス対策、VPN機能(IPsec/SSL VPN両対応)を1台に凝縮した製品シリーズとなっているが、下位モデルのASA 5505はIPSとウイルス対策に対応していないので注意したい。

 ただし、従来、ラックマウント型のモデルのみだったシリーズに個人宅にも設置できる同製品が加わったことには、在宅勤務者や小規模拠点を抱える企業のセキュリティ上の穴をなくすという面で大きな意義があると言えるだろう。

インフラ構築製品(Edge)

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写真4:L2+ コンパクト セキュア ギガスイッチ DGS-3200-10(クリックで拡大)

 次に紹介するディーリンクジャパンの「L2+ コンパクト セキュア ギガスイッチ DGS-3200-10」(写真4)もコンパクトさが売りとなっている。こちらは、インフラ構築製品(Edge)でグランプリを獲得した製品で、不正なネットワーク利用を防止するためのユーザー認証機能やPCの検疫機能を備えている(別途、認証・検疫サーバが必要)。

 この手のセキュリティ機能を持つスイッチにはバックボーン向けの製品はあったが、エッジ部分で使えるようなものがなかった。DGS-3200-10は8ポートのコンパクトな製品で、かつ49,800円という低価格を実現したことが評価されたようだ。

インフラ構築製品(Edge)

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写真5:T1600(クリックで拡大)

 小規模な製品が続いたので、最後に大規模製品を紹介しよう。インフラ構築製品(Core)部門でグランプリを受賞したのは、Juniper Networksの「T1600」(写真5)。「世界最速コアルータ」と銘打たれたこの製品は、100Gbps全二重のPIC(物理インタフェースカード)を16枚搭載(1つのスロットに2つのPICを収納)することで、1.6Tbpsの最大スループットと毎秒19億2,000万個のパケット転送能力を持つ超弩級のサービスプロバイダー向けルータだ。

 もっとも、これだけの性能を2分の1ラックサイズの大きさで実現していることや、スループット当たりの消費電力を従来製品に比べ40%削減したことなど、環境面への取り組みも受賞の要因となっているようだ(Juniperの製品ラインアップには、3Tbpsと毎秒30億パケットの転送能力を持つTXマトリクス+T640ルータ4台の構成も用意されているが、こちらはラック3本分の設置スペースが必要となる)。

 最近はデータセンターの電力問題がクローズアップされる機会が増えているので、最上位機種でも性能だけを追求すればいいというわけではなくなっている。「ワット当たりの性能」という言葉はAMDやIntelといったプロセッサ・ベンダーが使い始めた言葉だが、すでにコンピュータ業界全体に広まっているようである。

 以上、本稿ではInterop Awardを受賞した製品を5つほど紹介した。今回受賞した製品・サービスは全部で32個あるが、本稿で紹介できなかった分については、Interopの公式ページを参照していただきたい。なお、最初のリポートで紹介したNTTコミュニケーションズの「緊急地震速報配信サービス(仮称)」は、ネットワークソリューション部門のグランプリを獲得している。