大企業のIT責任者が悩む、環境対策の「理想」と「現実」――ITベンダーは環境対策製品を積極的にアピールしてほしいとの声も

 米国Forrester Researchは5月10日、大企業のIT部門責任者らを対象に行った、環境対策に関する調査リポート「Tapping Buyer’s Growing Interest In Green IT(“グリーンIT”に対する資材調達担当者の関心度調査)」を発表した。

 この調査は、北米および欧州の大企業に勤務するIT担当者と資材調達担当者124人を対象に行われたものである。

 同リポートによると、回答者の85%がITに関する業務を計画する際には、環境問題が重要な要因になると考えているものの、実際に自社の資材調達や業務プロセスの中に、環境に配慮する基準を明文化していると答えた人は25%にとどまったという。

 また同リポートでは、AMD、Cisco Systems、Dell、EMC、HP、IBM、Intel、Sun Microsystemsなどの主要ITベンダーは、低消費電力のサーバを導入したり、自社のデータセンターの省電力化を推進したりするなど、環境に配慮した取り組みを積極的に実施していることも明らかにしている。

 Forresterのシニア・バイスプレジデント、クリストファー・マインズ氏は、今回の調査について、「企業のIT部門で芽生えつつある環境重視の考え方を理解する手がかりとなった」とし、以下のように指摘している。

 「資材調達担当者は、(環境に配慮するという)企業の社会的責任と効果を考慮し、環境対策を重視するようになっている。ただし多くのIT部門責任者は、資材調達をする際にコスト節減を絶対条件として課せられている。そのため、彼らにとってはコスト削減が実現できる選択肢の1つとして、環境に配慮した製品があるという意識だ。環境対策を行うことは、あくまでも費用対効果を重視したうえでの“手堅いビジネス判断”となっている」

 一方、ITベンダーの環境対策への取り組みを詳しく知っていると答えた回答者は15%にとどまった。ただし、多くの回答者がITベンダーから環境対策について詳しい説明を受けたいと答え、そのほとんどが具体的な環境対策製品やサービスの投資収益について知りたいと回答したという。

 Forresterでは、今後ITベンダーは、環境に配慮した製品やサービスを顧客に積極的にアピールし、“環境対策製品”を購入することで顧客が得られるメリットを明確にする必要があると指摘している。

(リンダ・ローゼンクランス/Computerworld オンライン米国版)

米国Forrester Research
http://www.forrester.com/

提供:Computerworld.jp