IBM、政府機関向けのSOA導入支援センターを開設――システム設計・検証のほか、SOA資産の保存・管理を支援

 米国IBMは4月26日、米国政府機関を対象にサービス指向アーキテクチャ(SOA)の導入を支援する新センター「IBMフェデラルSOAインスティチュート」を開設したと発表した。

 メリーランド州ベセズダに開設された新センターは、SOA環境の設計や検証、導入準備の支援とともに、再利用可能な技術資産の保存センターの役割も担う。 IBMの研究者、大学、政府機関が共同で作業する環境が提供されるほか、SOAのガバナンス、モデリング、セキュリティ、既存資産の再利用といったテーマに関するセミナーも開催される。

 IBMによれば、米国内務省、海軍、労働統計局、教育省が同センターを利用する意向を示しているという。

 内務省のCTO(最高技術責任者)、ドード・サントサ氏によると、内務省はSOA導入の初期段階にあり、SOAによって省内のリソース共有を推進しようとしている。例えば、地質調査部の地理空間技術を、SOA技術を使って他の部署の業務に利用できるようにする取り組みも始まっている。

 「われわれの取り組みの基本的な考え方は、IT予算が減り続けているという困難な状況を、これまでとは異なる発想でいかに克服していくかということだ。SOAの概念は、われわれが省内全体でリソースを共有するための糸口になる」(サントサ氏)

 サントサ氏は、IBMが開設した新たなセンターで、職員にSOAに関する研修を受けさせることを検討しているという。内務省は現在、IBMのWebSphereベースのポータルを利用して、SOAインフラの構築に取り組んでいる。

 「政府機関でも民間セクターでも、IT担当者のSOAに関するスキルはまだそれほど高くない」(サントサ氏)

 新センターでは、政府機関向けのSOAの方法論や技術を設計・検証し、そのデモも行われる。また、SOA導入の準備を支援すると同時に、再利用可能な技術資産の保存・管理もサポートする。

 IBMによると、新センターは、政府機関に対して、SOAシナリオの検証といったSOA導入準備を支援するサービスを無料で提供する。あくまでも費用は、ソフトウェア導入などの顧客契約を結んだ段階で初めて発生するという。

 IBMは新センターの発表を、26日にワシントンDCで開催した「Federal SOA Executive Summit」で行った。IBMはワシントンDCに、政府機関による財務管理、人事管理、コラボレーション、サプライチェーン・マネジメントのシステム統合に関する学習および検証を支援する2つのコンピテンシー・センターをすでに持っている。

(ジョン・ブロウドケン/Network World 米国版)

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提供:Computerworld.jp