IBMら18社、共同策定のSOA仕様を標準化団体に提出――構想発表から1年半、SCA/SDO仕様はOASISで標準化へ
2つのSOA関連仕様とは、サービス・コンポーネントの開発および組み立て方法を定義したSCA(Service Component Architecture)と、SOA環境下のオブジェクトにおける一貫したデータ処理方法をまとめたSDO(Service Data Objects)。このうち、Java対応のSDO仕様については、Java仕様の標準化コミュニティであるJCP(Java Community Process)が、今後の作業を引き継ぐことになっている。
これらの仕様は、SOAベースのアプリケーション開発を特定技術に依存しない形で統一することを主な目的としている。ベンダーごとにサービス・コンポーネント開発のアプローチが異なり、他ベンダーの製品の統合が難しいというのが実情だからだ。
SCA仕様は、BPEL(Business Process Execution Language)、アプリケーション開発フレームワーク「Spring」、JavaおよびC++言語に完全対応している。Open SOA Collaborationのメンバー企業であるSAPの業界標準担当バイスプレジデント、マイケル・バーコフ氏によると、サービス・コンポーネントの開発、組み立て、配備の際に一貫したモデルを適用できるよう、SCAにはコンポーネントがどのように連携し合うのかを定めたアセンブリ・モデルも用意されているという。
また、メンバー企業のIBMでソフトウェア標準担当バイスプレジデントを務めるカーラ・ノースワーシー氏は、SCAのOASIS提出の意義を強調した。「これは顧客にとって大きな前進だ。仕様の仕上がりには大いに満足している」(同氏)
Open SOA Collaborationは、SOA市場で競合する18社のベンダーから成るアライアンスで、BEA Systems、IBM、IONA Technologies、Oracle、Red Hat、SAP、Sun Microsystemsなどが参加している。
同アライアンスの初代メンバーによる初会合が2005年11月に催されたとき、各社は特定のプログラミング言語に依存しないサービス・コンポーネント仕様を策定するとともに、その仕様を標準化団体に正式に提出することを申し合わせた。また、同アライアンスはあくまでベンダーの非公式な集まりであって、標準化団体ではないという立場も堅持してきた。
OASISの代表兼CEO、パトリック・ギャノン氏によると、OASISでは仕様を正式に受理した後、新たにいくつかの技術委員会を設置するという。そうした委員会での初会合は今年6月になる見込みだ。
OracleのFusion Middleware/Webサービス標準担当ディレクター、ジェフ・ミシュキンスキー氏は、「Open SOA Collaborationは現在、ほかの仕様の策定にも取りかかっている」と語る。来年にかけて行われる作業としては、イベント駆動型のモジュールをSCAに追加するほか、CおよびCOBOL言語のサポートをSDOに盛り込む予定だという。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
Open SOA Collaboration
http://www.osoa.org/
提供:Computerworld.jp