オープンソースのメッセージングサーバーはMicrosoft Exchangeに取って代われるか
しかしその反面、どの製品にもMicrosoft Exchangeにはない機能を1つか2つは持っている。たとえば、ScalixのオープンソースプロジェクトのディレクターであるFlorian von Kurnatowskiは、Linux.comのライターのMichael Stutzに次のように語っている。「Exchangeを購入すると、サーバー側のActive Directoryを使わなければならない。ディレクトリには他の選択肢がない。それに、Exchangeを購入すると、実際クライアントにはOutlookを使い続けなければならない。ExchangeとOutlookは非常に緊密に統合されているので、別のクライアントを使うことなどできない。こうしてデスクトップでは基本的にWindowsとOutlookをずっと使わなければならなくなる」
ベンダーに縛られないことがレビューした3製品すべてから得られるあきらかな利点であるが、それだけではない。さらにvon Kurnatowkiのコメントをここで読むことができる。
8月にOpen-Xchangeのマーケティング戦略の幹部であるDan Kusnetzkyが語ってくれたところによれば、購入してもらえる可能性が大きいのは、創業者がHotmail、AOL、Yahoo!などの個人用メールアドレスを使って1人か2人で始めた企業が成長し、必然的に、メッセージング機能を集中化したり予定表やドキュメントの共有などコラボレーション機能について検討し始める段階になった場合だという。KusnetzkyはExchange以外のメッセージングサーバー市場について、他にも興味深い多くのことを述べている。
Zimbraの社長でCTOのScott DietzenがJoe ‘Zonker’ Brockmeierに語ったところでは、ZimbraはH&R Block、Voxel dot Net、San Mateo Regional Networksなど多くの企業でハイエンドな用途に使われており、100万人規模のユーザーが使用する各種サービスプロバイダにも(おそらくMicrosoft Exchangeで同等の機能を実現するよりはるかにローコストで)対応することができるという。Dietzenもさらに詳しく述べている。
匿名の読者のコメントに「なぜOpenXChange、Zimbra、Scalixなど、よくもないグループウェアの話ばかりなのでしょう」という質問があった。この読者はまた「eGroupwareの方が優れているし本物のオープンソースなのに、誰もレビューを書いていません。ぜひ試してみてください」とも書いている。
以前にeGroupwareに注目したとき、私たちは、この製品はまだ企業が本格的に使用できる段階にはなっておらず、使えるようになるまでにまだ多くの作業を要するプロジェクトをレビューしても、開発者たちは喜ばないだろうと考えた。これは数年前のことであり、それ以降プロジェクトは大きな成長を遂げた。近いうちにLinux.comでeGroupWareをレビューする予定である。
先週私たちがレビューした製品やeGroupWareはいずれも、Microsoft Exchangeのどれかの機能、あるいはすべての機能を再現するという点からは、Exchangeに直接取って代わるものではないだろう。しかし、どの製品にも長所があり、また接続すればすぐに使えるサーバーアプライアンスを提供(あるいは提供を予定)しているので、インストールとメンテナンスの心配は、これらの製品を選択する場合にもしない場合にも大きな要因とはならない。3製品とも、望んでいるほど急速ではないとしても着実にユーザーベースを築いているようなので、新しいメッセージングサーバー製品に市場に参入する余地がそれなりにあることは明らかだ。特にLinuxで動作する場合がそうだ。Microsoft ExchangeはLinuxで動作しないし、今後もそれは変わらないだろうから。
Exchangeに似た製品やプロジェクトで最近私たちが言及していないものが何かあれば、ぜひお知らせください。また、特定のソフトウェアやハードウェアの分野を1週間で集中的に取り上げる今回の「特別レポート」形式は、読者の皆さん同様、私たちにも初めてなので、改善すべき点についてのアドバイスをいただければ幸いです。原文ページの下の部分でコメントとして投稿していただくか、editors@ostg.comまで電子メールをお送りください(英語)。