レビュー:Open-Xchange──Exchangeの置き換えは可能か?

もし皆さんの所属組織でMicrosoft Exchangeの代わりを探しているか、初めてグループウェアアプリケーションを導入しようとしているならば、Open-Xchangeも候補に入れてはどうだろうか。私は実際に試してみて、オープンソースのさまざまなグループウェアクライアントで使用できるきちんとした製品だという感触を得た。ただ、Webインタフェースは少々魅力に欠ける。(Zimbraのレビュー)

Open-Xchangeは、Open-Xchange社または同社のパートナー企業(Collax社など)から直接入手できる。パートナー企業はOpen-Xchangeに独自の機能を追加できるので、Open-Xchange社が直接提供する製品とパートナー企業が提供する製品では機能が異なる場合もある。

Open-Xchangeを試すにあたり、私はライブCDおよびVMwareイメージとCollax社のOpen-Xchange Server(OXS)アプライアンスをテストした。

Open-XchangeにはオープンソースのCommunity Editionもあるが、大方の予想どおり、Commercial Editionに比べるとインストールや管理に手間がかかる。

Open-Xchangeの管理

Open-Xchangeのインストールについては、特に言うことはない。私が使用したライブCDとVMwareイメージにはOpen-Xchangeがプリインストールされていたからだ。Collax OXSシステムのインストールもごく簡単である。インストールプロセスでは、いくつかの簡単な質問に答え、OXS実行の際にシステム上の全ディスクを占有するかどうかを確認するだけでよい。およそ10分後には、きちんと機能するOpen-Xchangeシステムが構築されているという具合だ。

Open-Xchangeをインストールした後は、Webベースのインタフェースを通じて管理を行う。ここでユーザの追加や管理、サービスの開始と停止、別名やドメインのセットアップ、SSL証明書の管理、システムの監視を行うことができる。この管理インタフェースはすっきりしていて使いやすい。惜しまれるのは、統合化されたヘルプシステムがないことだ。私がこれまでテストしてきたシステムにはたいていコンテキストに応じたドキュメントを利用できる仕組みがあったので、Open-Xchangeにも今後ぜひ期待したい。

Collax OXSのインタフェースは、標準のOpen-Xchangeインタフェースとは異なり、コンテキストヘルプとシステムセットアップ用ウィザードを備えている。また、Open-Xchangeの標準ディストリビューションにはない、ユーザ管理を簡便化するツールがいくつか用意されており、たとえばユーザ情報を含んだスプレッドシートをアップロードして複数の新規ユーザをまとめて設定することができる。

Zimbraグループウェアスイートを見た後では、標準のOpen-Xchange管理インタフェースはかなり見劣りがする。Zimbraには、復元機能やメールキューの監視など、メールシステムの監視や管理をリアルタイムで行うツールが数多くあるが、標準のOpen-Xchange管理インタフェースにはこうした機能がない。

しかし、Collax OXSシステムにはバックアップツールと、システムリソースの監視、バックアップの実行を行う機能が用意されている。ただ残念なことに、OXSで実行できるのはSMB、NFS、またはテープへのバックアップのみである。状況によって同じマシンのディスクにバックアップできるようになれば、さらに便利になるだろう。

全体的に見て、Open-Xchangeの管理は難しくない。私は標準のOpen-XchangeインタフェースよりもOXSのツールの方が好きである。追加機能があるし、こちらの方が使いやすいと思うからだ。

Open-Xchangeの使用

では、エンドユーザの視点から見た場合のOpen-Xchangeの評価はどうだろうか。Open-Xchangeには、グループウェアに期待される機能――たとえば電子メール、カレンダー、タスク/プロジェクト管理、アドレス帳など――はひととおり揃っている。さらに、ドキュメント管理、知識ベース、フォーラム、一時的告知のための掲示板なども用意されている。

Open-Xchangeのユーザインタフェースは、ZimbraやGoogleのグループウェアシステムに比べるとやや遅れている。つまり、古典的な「ボタンをクリックしてページのリロードを待つ」方式のWebアプリケーションなのだ。しかし、Open-Xchangeのパフォーマンスは非常に優れているので、長々と待たされるようなことはない。ただ私はGmailのようなデスクトップアプリケーション並に操作性の高いWebアプリケーションに慣れてしまっているので、その点では分が悪い。Open-XchangeのWebアプリケーションを毎日使ってもそれほどストレスを感じないだろうが、ものすごく快適だとは思わないだろう。

また、Open-Xchangeのインタフェースはあまり直感的でない。たとえば、プロジェクト管理モジュールでプロジェクトにマイルストーンを追加すると、そのマイルストーンがダイアログ下部のマイルストーン一覧に追加されるが、それを実際にマイルストーンとして保存するためにはダイアログ下部の[Save]ボタンをクリックする必要がある。一見するとソフトウェアがマイルストーンを追加してくれたように見えるので、この点にはなかなか気付かないだろう。

AJAXアプリケーションは、Open-Xchangeで使われている単純なHTMLインタフェースよりも概して高機能である。たとえば多くのAJAXアプリケーションでは、データを保存せずに別のページに移動しようとすると、未保存のデータを破棄してもよいかどうかの確認メッセージが表示される。Open-Xchangeインタフェースでは、このような警告は表示されない。

特に不便なのはOpen-Xchangeのドキュメント管理インタフェースだ。必要な情報をすべて入力するために2つのページを行き来しなければならず、さらにドキュメントのMIMEタイプを指定するよう求められる。ドキュメントマネージャにドキュメントを追加するときに、JPEGやMicrosoft Word文書やZipファイルのMIMEタイプを指定するよう一般のオフィスユーザに求めるのは酷というものだろう。これは明らかにユーザフレンドリーではない。

しかも私が見たところでは、Open-Xchangeはユーザが指定したMIMEタイプをそのまま使用していないのだ。私は試しにさまざまなファイルについて適当なでっちあげのMIMEタイプを入力してみたが、アップロードされたファイルでは、Open-Xchangeが正しいMIMEタイプを割り当てていた。

幸い、ユーザはこのWebインタフェースに縛られる必要はない。Open-Xchangeは、標準の電子メールクライアント(POP3およびIMAPをサポートするもの)とデスクトップ・グループウェア・アプリケーションから利用できる。私はOpen-XchangeとKontactを使用してみたが、電子メールも、カレンダー、タスク、アドレス帳も問題なく使用することができた。

なお、Open-XchangeにはOutlookコネクタも用意されている。

Open-Xchangeを採用すべきか

Open-Xchangeは悪くないグループウェアソリューションだが、Webインタフェースのことを考えると点が辛くなってしまう。ZimbraやScalixと比較して、どれが自分の組織に適しているか検討することをお勧めする。

Open-Xchangeの価格には幅がある。Open-Xchangeから直接Commercial Editionのライセンスを購入する場合は、1サーバにつき25ユーザで最低389ドルから利用でき、これにはOutlookからOpen-Xchangeサーバに接続するためのOutlook OXtenderの5ユーザライセンスが含まれている。

またOpen-Xchange社は、GPL版のOpen-XchangeについてOXtenderの25ユーザライセンスを販売している。これならば、スイート全体を購入しなくても、OutlookまたはPalmからの接続に必要なぶんだけの料金を支払えば済む。この場合は、25ユーザで815ドルから利用できる。

ライセンス料を支払いたくない場合は、オープンソース版のOpen-Xchangeを入手して、自力でセットアップすればよい。他の方法より手間はかかるが、上記のようなサポート付きパッケージを購入する予算がない場合には最適な方法である。

Collax社のようなリセラーからOpen-Xchange Serverを購入することもできる。もしかしたらこれが最善の方法かもしれない。Collax OXSにはウィザードと管理ツールが追加されているため使い勝手がよく、OSをインストールする手間も省ける。Red HatやSUSE Linuxのサポートを心配する必要はなく、ただOXSを配置すれば、このOSのアップデートがCollax社から直接提供されるのだ。

初めてOpen-Xchangeをセットアップするならば、Collax社のOpen-Xchange ServerまたはCollax Business Serverをお勧めする。5ユーザライセンスの無料ダウンロード版が公開されているので、Open-Xchangeサーバを実際にセットアップし、自分の環境に適したシステムかどうか試してみるとよいだろう。

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