「Linux 5.9」が公開

 Linus Torvalds氏は10月11日、最新のLinuxカーネルとなる「Linux 5.9」の公開を発表した。

 Linux 5.9は8月に公開されたLinux 5.8に続く最新版。8回のリリース候補(RC)を経ての公開となった。

 mallocで割り当てたメモリの管理を改善した。また、メモリ圧縮のサポートを拡大し、割り当ての前に自動的にメモリ圧縮をトリガーするようになった。メモリのcgroupでslabページの共有を可能にするcgroup slabコントローラーを導入した。これにより、slabの使用率が最大45%まで改善できる他、全体のカーネルメモリフットプリントも改善できるとしている。

 Linuxタスクスケジューラーでは、Linux 3.14で搭載したデッドラインスケジューラを拡張し、各CPUのキャパシティを認識するようになった。

 ファイルシステム関連では、btrfs、XFS、ext4、F2FSなどを強化した。例えばbtrfsではrescueマウントオプションが加わり、fsync()の性能が改善するなどの強化が加わっている。また、Berkeley Packet Filter(BPF)で、BPF_PROG_TYPE_SK_LOOKUPが加わった。トランスポート層が新しい接続リクエストに対してソケットを参照したり、パケット向けに接続されていないソケットを参照する時に動作するもので、bind() APIの制限を克服するという。

 ハードウェア側ではAMD Radeon RX 6000 RDNA 2、Intel Xe、Intel Rocket Lakeなどの早期サポートが加わった。IntelのFSGSBASE命令をサポートした。FSおよびFSセグメントベースのレジスタに直接アクセスできるもので、アプリケーションだけでなく、OSのコンテキストスイッチの性能改善などのメリットがあるとしている。

 この他にも、多数の強化が加わっている。

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