Linuxカーネル5.6リリース、WireGuardのサポートが実現
Linus Torvalds氏は3月29日、最新のLinuxカーネルとなる「Linuxカーネル5.6」のリリースを発表した。
Linuxカーネル5.6は2020年1月末に公開されたLinuxカーネル5.5に続くもので、7回のリリース候補(RC)を経ての最新版となる。
オープンソースのVPNプロトコルWireGuardがカーネルレベルでサポートされ、外部カーネルモジュールを使用することなく利用できるようになった。ネットワーク関連では、既存のPIEとパケットスケジューラーFQ(Flow Queue)を組み合わせたAQMアルゴリズムのFQ-PIEをサポートしたほか、Intel Virtual Busのサポートなども加わっている。
バージョン5.1で導入された非同期I/O向けの高性能なインターフェイスio_uringも強化した。実験的扱いではあるがUSB4のサポートも加わった。Berkeley Packet Filter(BPF)関連でも、TCP輻輳制御アルゴリズムを実装できるようになるなどの強化が加わっている。
2038年問題(協定世界時2038年1月19日3時14分7秒過ぎると誤作動する可能性がある問題)への対応をほぼ完成させた。また、名前空間単位でシステムの時計をオフセットするTime Namespaceをサポートしたほか、システムコールopenat2()やpidfd_getfd()も加わった。
ファイルシステム関連では、ゾーン化されたブロックデバイス向けにZoneFSファイルシステムを導入した。Ext4の性能を強化したほか、F2FS向けの圧縮を実験的にサポートするなど、細かな機能強化が加わっている。
なお、リリースを告げるメーリングリストでTorvalds氏は新型コロナウイルスの影響について、「カーネル開発に影響する兆候は感じていない。我々の多くが自宅から作業しているからだろう」と記している。Torvalds氏自身も、娘から「ソーシャルディスタンス(人と人の間の距離をとること)のチャンピオン」と言われている、と明かしている。次期5.7については、「通常通りの5.7リリースになるだろう」としながらも、「マージウウィンドウを見逃す理由が通常より多いので、影響を受けているサブシステムがあれば教えて欲しい」と記している。
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