Linuxカーネル5.7リリース、タスクスケジューラがCPUの過熱によるクロック周波数を認識可能に

 Linus Torvalds氏は5月31日、最新のLinuxカーネルとなる「Linuxカーネル5.7」の公開を発表した。

 Linux 5.6は3月31日に公開されたLinuxカーネル5.6に続く最新版。7回のRC(リリース候補)版を経ての正式版となる。

 タスクスケジューラーにThermal Pressureを導入、熱問題によりCPUのクロック周波数が影響を受けてキャパシティが削減する状態を認識できるようになった。オーバーヒート時にタスクスケジューラーが利用できるCPUの割り当てを改善できるようになるという。また、一部のx86 CPUを対象にクロック周波数不変のスケジューラーを導入し、スケジューラがCPUのクロック周波数を選択するCPUガバナーschedutilとの連携を強化した。

 Linux 5.0でサポートしたARMv8.3 Pointer Authenticationをarm64カーネルにも拡張した。Return-oriented Programming(ROP)攻撃から保護できるとしている。

 ファイルシステムではexFATの実装が新しくなった。カーネル5.4で実装したものよりも品質が高いとしている。

 cloneシステムコールで親プロセスとは異なるcgroupでプロセスを作成できるようになった。また、perf cgroupプロファイリングを強化し、これまで特定のcgroupでのタスクしかプロファイルしなかったが、各サンプルにcgroup情報を組み込むようになった。

 BPFプログラムをLSM(Linux Security Modules)ホックにアタッチできる新しいLSMが加わった。動的な監査とMACポリシーの適用が可能になるとしている。

 このほかドライバーのアップデートを含め、多数の機能が加わっている。

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