「QEMU 5.0.0」リリース

 オープンソースの汎用マシンエミュレーターQEMU開発チームは4月29日、最新のメジャーリリースとなる「QEMU 5.0.0」を公開した。

 QEMUは汎用エミュレーターと仮想環境の実行機能を持つソフトウェア。ホスト環境とは異なるアーキテクチャ向けのOSやプログラムをエミュレートによって実行する動的なコード変換機能を提供するほか、仮想環境の実行エンジンとして使用する場合は、ホストCPU上で直接仮想環境内のゲストプログラムをネイティブに実行することで、高速にプログラムを実行できる。Xenハイパーバイザー、LinuxでのKVMカーネルモードをサポートする。

 QEMU 5.0は、2019年4月に公開されたバージョン4.0に続く最新のメジャーリリースとなる。232人の開発者から合計で2800以上のコミットがあったという。新たに仮想マシン内からホストのディレクトリツリーにアクセスできる共有ファイルシステム「virtio-fs」がサポートされた。ホストと仮想マシンの間でのファイルやフォルダの共有が容易になるとしている。

 QEMU D-Bus上で動く外部プロセスのライブマイグレーションが可能になった。仮想マシンの一部のみを起動させて仮想マシン内のブロックデバイスを操作できるqemu-storage-daemonも実験的に加わった。また、圧縮バックアップイメージを作成するバックアップ作業に使えるcompressフィルタも加わっている。

 Bluetoothのサポートが削除された。ここ数年メンテナンスがされておらず、今後使われそうにないためとしている。

 ARMでは、virtマシンでvTPM(Trusted Platform Module)とvirtue-iommuデバイスのサポートが加わった。Cortex-M7 CPUのサポート加わり、ARM v8でも機能のサポートを拡充した。一方で、KVMゲストを動かすための32ビットARMホストのサポートが非推奨となった。

 RISC-Vではドラフト段階のハイパーバイザー拡張(v0.5)をサポートした。PowerPC、s390などでも、機能強化が加わっている。

QEMU
https://www.qemu.org/