「QEMU 2.5」公開

 オープンソースのエミュレーターQEMU開発チームは12月16日、最新の安定版となる「QEMU 2.5」を公開した。ターゲットとして新たにTileGXに対応、バッファオーバフロー対策など多数の機能が加わっている。

 QEMUは汎用のマシンエミュレーターおよび仮想化ソフトウェア。あるマシン向けに開発されたOSやプログラムを他のアーキテクチャのマシンで動かしたり、ネイティブに近いパフォーマンスでゲストコードを直接ホストCPU上で実行できる。

 QEMU 2.5は9月に公開されたQEMU 2.4に続く最新版。ゲストによりトリガーされたバッファオーバフロー攻撃を保護する目的で、ゲストRAMの後にガードページが挿入された。デバイスエミュレーションではfw_cfgがARMとx86上のDMAインターフェイスをサポート、これによりファームウェアがサポートしている場合-kernel/-initrdが高速化されるという。共有メモリデバイスではivshmemクライアントと同サーバーのサンプル実装が加わった。

 ARMアーキテクチャでは、AArch64上のセミホスティングのサポートが加わり、i.MX31 SoC対応が加わった。KVMでのVGICv3、ACPIテーブルでのGICv3サポートが加わり、「virt」マシン関連も、512GBの2つめのPCIe MMIOリージョンなどの強化が加わった。

 新しいターゲットとしてTileGXが加わり、x86でもサポートされていない機能を含む「-cpu」モデルを利用する際に警告するなどの機能が加わった。/machine/icc-bridgeはQOMツリーから削除された。

 HaswellとBroadwellの両CPUモデルでABMを含むようになり、「-cpu host」でこれまでデフォルトで有効となっていたCache Informationパススルーが無効となった。新しいIntelのメモリ命令clflushopt/clwb/pcommitをサポートし、TCGではDebug Extensionsに対応した。

 virtioではvirtio-gpuで3Dモードをサポートし、vhost-userでライブマイグレーションやマルチキューが利用できるようになった。ネットワークではこのほかネットワークフィルタに対応、まずは「filter-buffer」を利用できる。KVMではHyper-V互換のクラッシュレポート機能に対応した。

 このほかブロックデバイス、ツールなど多数の細かな強化が加わっている。

QEMU
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