「QEMU 3.1」リリース

 オープンソースのマシンエミュレーター「QEMU」の開発チームは12月12日、最新版となる「QEMU 3.1.0」の公開を発表した。

 QEMUはオープンソースのマシンエミュレーター。さまざまなアーキテクチャのコンピュータハードウェアをエミュレートできる。QEMUを利用することで、QEMUを実行するホストとは異なるアーキテクチャ向けのOSやプログラムを実行できるようになる。ネイティブに近い性能でKVMとXen仮想マシンを走らせるバーチャライザの機能も備える。

 QEMU 3.1は、8月に公開したQEMU 3系の最初のポイントリリースとなる。ARM、MIPS、PowerPC、s390、SPARC、x86などで細かな機能強化が加わった。たとえばARMではARMv6Mアーキテクチャ、Cortex-M0とCortex-A72などのCPUモデルのサポートが加わった。x86では、マルチスレッドのTCG(Tiny Code Generator)のサポートが加わり、IceLake-ServerとIceLake-Clientもサポートした。KVMのサポートも強化した。

 TCGでは、ユーザーの設定ミスやゲストのバグなどの結果としてRAMまたはROM以外から実行できない状況が改善された。これにより「qemu: fatal: Trying to execute code outside RAM or ROM」というエラーメッセージが表示されることがなくなる。

 「qemu-img」ツールでLUKS暗号化ファイルを生成できるようになったほか、ユーザーモードエミュレーションも強化が加わっている。また、GTK2ディスプレイフロントエンドのサポートがなくなり、GTK3を利用するようになった。Pythonの最少要件は2.7となり、次のリリースではPython 2系はサポート対象外になるという。

 このほかにも多数の細かな機能が加わり、バグも修正された。

QEMU
https://www.qemu.org