JDK 11をサポートした「GraalVM 19.3」が公開

 米Oracleが開発する多言語対応ランタイム「GraalVM」開発チームは11月21日、最新安定版となる「GraalVM 19.3」公開を発表した。初となる長期サポート版(LTS)となり、Java 11のサポートなどが特徴となる。

 GraalVMは多言語をサポートする汎用仮想マシン。Java、ScalaといったJava仮想言語に加えて、JavaScriptやPython、Rubyなどの動的言語、C、C++といったLLVMベースの言語も利用できる。共有ランタイムにおける言語間の相互運用を促し、スタンドアロンまたはOpenJDK、Node.js、Oracle Databaseで動かすことができる。

 GraalVM 19.3は長期サポート版(LTS)で、5月に公開されたバージョン19系の最新版。次のLTS公開まで、安定性およびセキュリティ、一部の性能に関する修正がリリースされる。プロジェクトでは、2020年にメジャーリリースを公開した後に次のLTSを公開する予定としている。

 本バージョンでは2018年に公開されたJava 11をサポートし(Enterprise EditionではOracle Java 11.0.5、Community EditionではOpenJDK 11.0.5)、Java 11を必要とするアプリケーションを動かすことができる。JDK 8のサポートも継続しており、引き続き利用できる。なお、Java 8から11へのマイグレーションでは、G1ガベージコレクションをデフォルトで使うなど性能に影響する変更があると警告している。また Java Platform Module System(JPMS)を含む点も差異としている。

 Graal VM Native ImageでもJava 11のコードをサポート(アーリーアダプタ技術扱い)するがJPMSはサポートせず、イメージのランタイムでのモジュールのイントロスペクションもできない。

 このほかにも多数の細かな機能強化が加わった。Node.jsのサポートが12系LTSブランチになり、Pythongの標準ライブラリが3.7.4に、RではFastRがR 3.6.1をサポートするなど更新され、デバッガー、Visual Studio Code拡張なども強化された。

GraalVM
https://www.graalvm.org/