aarch64に対応した「PyPy 7.2」が公開
高速なPython実行環境のPyPy開発チームは10月14日、最新版となる「PyPy 7.2」を公開した。64ビットARMアーキテクチャのサポートが追加されている。
PyPyはPythonで実装されたPythonの実行環境。JITコンパイラによる高速さ、低いメモリ使用量を特徴とし、Cで実装されたPython(CPython)よりも高速に動く場合もあるという。
PyPy 7.2は2月に公開された7系の最新のポイントリリースとなる。100%の後方互換性をうたっており、Python 2.7およびPython 3.6に対応するバージョンがそれぞれリリースされている。なおPython 3.6に対応する「PyPy3.6」は本バージョンでベータから正式扱いになった。開発チームはPython 3.7に対応するバージョンの開発作業をスタートしているという。
本バージョンでは新たに64ビットのARMアーキテクチャaarch64がサポートされた。ベンチマークランナーが新しくなり、対応するCPythonはバージョン2.7.11に更新された。
CFFI(C Foreign Function Interface)ベースの_sslモジュールも新しくなった。暗号化アルゴリズムへのインターフェイスであるcryptographyはバージョン2.7になった。_hashlibとcrypt(Python3では_crypt)モジュールもCFFIに変換した。リンクするシステム共有オブジェクトが少なくなることから、開発者にはライブラリのアップデートが容易になるなどのメリットがあるという。CFFIバックエンドは1.13.0にアップデートされている。これらの強化から、C言語で実装されたライブラリの利用にはCFFIを、C++ライブラリにはcppyyを使うことを推奨している。
JSONデコーダーも新しくなり、高速になった。メモリ使用量が少なくなり、JITと親和性のある辞書を使うという。
このほかにも細かな強化が加わっている。
PyPy
http://pypy.org/