「Kotlin 1.3」公開、コルーチンが正式扱いに。ネイティブバイナリ出力もベータ対応

 チェコJetbrainsは10月30日、Javaと互換性のあるプログラミング言語Kotlinの最新版となる「Kotlin 1.3」を公開した。コルーチンが正式扱いになったほか、ネイティブバイナリを出力する技術もベータ機能として導入された。

 KotlinはJava仮想マシン上で動作するコードを出力するプログラミング言語処理系。静的型付け、Javaとの互換性などの特徴を持つ。Androidの公式な開発言語として認められており、開発チームによると、2018年に入り前年比2倍以上という約150万人の開発者がKotlinコードを書いたという。

 Kotlin 1.3は、2017年11月に公開されたバージョン1.2に続く最新版。非同期に実行されるコードを作成できるコルーチンが安定扱いとなった。APIとABIに変更が加わっており、マイグレーションのサポートも提供する。また、コルーチンを使用してHTTPスタック全体を非同期的に実装するアプリケーションフレームワーク「Ktor」バージョン1.0がベータ公開されている。

 バージョン1.2で実験的に導入したマルチプラットフォーム機能も強化した。さまざまなプラットフォームでのコード再利用に向けたプロジェクトで、1.3ではHTTP、シリアル化、コルーチン管理などのタスクを対象としたライブラリを用意した。

 Kotlinコードをネイティブバイナリにコンパイルする技術「Kotlin/Native」がベータ機能として導入された。LLVMベースのバックエンドとなり、WindowsやmacOS、Linux、iOS、Android、WebAssembly向けのネイティブバイナリを出力できる。

 Kotlin/Nativeのベータ導入に合わせ、IntelliJ IDEA Community Edition、IntelliJ IDEA Ultimate、Android Studioで使用できるKotlin/Nativeとマルチプラットフォーム用のツールもサポートした。エラーハイライト、コード補完、ナビゲーションなどの編集機能をこれらのIDEで使用できるという。

 このほか、遅延処理を視覚化するシーケンスデバッガの導入や、符号なし整数とインラインクラスの実験的サポートなど、多数の細かな機能強化が加わっている。

Kotlin
https://kotlinlang.org/