「Linuxカーネル4.19」リリース、今回のリリースはGreg KH氏が主導

 LinuxカーネルメンテナーのGreg KH(Kroah-Hartman)氏は10月22日、最新のLinuxカーネルとなる「Linuxカーネル4.19」のリリースを発表した。

 Linuxカーネル4.19は、8月に公開されたLinuxカーネル4.18に続く最新版。8回のリリース候補(RC)を経ての公開となった。この間、Linux創始者のLinus Torvalds氏が「人の気持ちを理解したい」との理由でカーネルメンテナーを一時降板したことから、Torvalds氏に任されたGreg KH氏が開発をまとめた。開発コードは「People’s Front」、Torvalds氏の一時降板と同時にカーネル開発者が作成に取り組んでいる行動規範など、これまで以上に人間を優先させようという意図が汲み取れる。

 機能面では、IEEE802.11ax(WiFi 6)の暫定サポートが加わった。また、ネットワークパケットスケジューラー向けのキュー管理システムCommon Applications Kept Enhanced(CAKE)を導入した。バッファブロート対策にあたって現行のキュー管理を置き換えるものとなり、ホームルーターユースケースをターゲットにしている。

 cgroupsをターゲットに、最小限のI/O遅延保証を目的とした最新のコントローラーを導入した。非同期I/Oポーリングインターフェイスも加わった。

 ファイルシステムでは、実験的扱いとしてEROFSファイルシステムをサポートした。ステージングディレクトリで進んでいる実験プロジェクトで、Enhanced Read-Only File Systemの略。軽量のリードオンリーファイルシステムで、インラインxattrs/dataなどモダンなデザインをもつ。携帯電話のファームウェアなど高性能なリードオンリーの要件に適しているという。このほか、BTRFS、XFS、EXT4などでも強化が加わっている。

 メモリ管理、perfと追跡、セキュリティ、ネットワーキング、仮想化、ドライバなどで細かな強化が加わっている。

 なお、Torvalds氏はカーネルメンテナーとして復帰しており、今後再び開発を主導する。

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