Linuxカーネル4.17リリース

 Linus Torvalds氏は6月3日、Linuxカーネル4.17のリリースを発表した。古いアーキテクチャのサポートが削除されるなど、コードベースのクリーンナップが進み、CPUスケジューラーの読み込み予測も改善した。

 4月に公開されたバージョン4.16に続く最新リリース。7回のリリース候補(RC)を経ての公開となる。コード名は「Merciless Moray」。

 ファイルシステム関連ではF2FSの性能と整合性を強化し、EXT4では問題を生じる可能性のある悪意あるコンテナイメージからの保護が加わった。XFSではlazytimeのサポートが追加されている。

 カーネル内でTLSプロトコルをサポートした。コードベースのクリーンナップを進め、Blackfin、CRIS、FRV、MN10300など8種類のアーキテクチャのサポートが削除された。POWER4/POWER4+もサポート対象外となった。IoTや医療機器で使われるAndes NDS32アーキテクチャを新たにサポートしたほか、ARMv8向けのNVIDIA Tegra Xavier SoCの初期サポートも行った。IBM s390ではSpectre脆弱性に対する保護が加わった。

 各プロセスの読み込みを追跡するパッチが加わり、CPUスケジューラーにおける読み込み予測が強化された。メモリの一貫性のためのサブセットLinux Kernel Memory Consistency Model(LKMCM)も加わった。アイドル時の省電力も改善されている。

 グラフィックドライバでは次期AMD Radeon Vega 12 GPUのサポートなどが加わり、AMDGPU DC(Display Code)はデフォルトで有効となった。IntelのCannonlakeサポートがデフォルトで有効となり、Intel HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)のサポートもマージした。

 Torvalds氏はカーネル4.17公開を告げるメールで、5.0について「遠くない将来」とし4.20あたりで5系に移行することになるのではと記している。

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