Linuxカーネル4.16リリース

 Linus Torvalds氏は4月1日、Linuxカーネル4.16を公開した。VirtualBox Guestドライバのマージ、セキュリティの継続的な強化などが特徴となる。

 Linuxカーネル4.16は、1月末に公開したバージョン4.15に続く最新版。7回のリリース候補(RC)版を経てのリリースとなる。

 セキュリティ関連では、arm64、IBM z S390などでSpectre、Meltdown関連の修正が継続して加わった。ユーザー空間から、もしくはユーザー空間へのコピーができるメモリ範囲を削減するユーザー空間ホワイトリストをマージした。ホワイトリストにはないメモリがコピーされると警告を出すように設定されている。また、MicrosoftのHyper-VゲストでのPCID(Process Context Identifiers)サポートが有効になった。

 ファイルシステムではEXT4、F2FS、AFS、XFS、Btrfsなどで修正や強化が加わった。たとえばBtrfsでは、RAID5/RAID6でリカバリコードがキャッシュストライプを使わないなどの改善が加わり、XFSではBtreeの逆マッピングが実験扱いではなくなるなど一部の機能が昇格している。また、AFSではダイナミックルート機能をサポートした。

 inode i_versionの強化によりI/Oの速度が改善したほか、OverlayではNFS経由でエクスポートできるようになった。この機能を有効にするとoverkayfsの一部の行動が変わり、後方互換性のないファイルシステムを作成することになると警告している。

 VirtualBox Guestドライバがメインラインにマージされた。KVMでAMDのSecure Encrypted Virtualization(SEV)機能をサポートした。

 printk()が大規模なメッセージトラフィックを処理する手法が変更され、複数のCPUに分散するようになった。gcc-pluginsインフラでのGCC8のサポートなども加わっている。

 このほか、AMDGPU DCでマルチディスプレイ同期をサポートした。AMDGPUスケジューラーがEtnaviv DRMで共通エリアに移った。NVIDIA Jetson TX2ディスプレイのサポートなど多数の強化が加わっている。CPUでもARM暗号化の強化、Intel CPU L2キャッシュパーティション、POWERメモリ保護キーのサポートなどの強化が行われている。

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