Linus Torvalds氏、一時的にLinuxカーネル開発から降板、自身の発言についてコミュニティに謝罪

 Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏が一時的にカーネルメンテナーを降板する。「他人の感情を理解して適切に対応することを学ぶ」と言うのが理由で、「燃え尽きたと言う種類のものではない」と述べている。復帰までの間はGreg Kroah-Hartman氏が代役を務める。

 Torvalds氏は9月16日、次期カーネル「Linux 4.19」の最新のリリース候補(rc4)公開を告げるメーリングリストにて、Linuxメンテナンスから一時的に退くことを発表した。

 直接の発端は、10月にカナダバンクーバーで予定されていた「Linux Kernel Maintainer Summit」を忘れてTorvalds氏が家族旅行の予定を入れてしまっていたこと。Torvalds氏は自分抜きで開催することを提案したが、結局Torvalds氏が参加できるように11月にスコットランドで開催することとなった。このため、イベントに参加する人は予定の変更を余儀なくされた。

 「今週、コミュニティの中から、これまでずっと感情を理解してこなかったことを指摘された」とTorvalds氏、自身のメールでの攻撃的な発言は「プロらしいものではない」と反省の気持ちを綴っている。特にその人の人格を否定するようなことがあったと振り返っている。「自分を客観的に見た」瞬間だったと言う。

 このような経緯を語りながらTorvalds氏は、「自分の振る舞いの一部を変える必要がある」として、メンテナーを一時的に休んで他人の感情を理解して適切に対応することを学ぶとしている。その間、Kroah-Hartman氏にカーネル4.19の完成を頼んだ。そのLinux 4.19については、「かなりよい」と感触を語っている。

 「自分の行動により傷つき、カーネル開発そのものから遠ざかってしまった人もいることだろう。その人たちに謝りたい」と記している。

 なお、メンテナーシップとコミュニティについては最近持ち上がったものではなく、何年も議論に上がっていたとのことだ。

 Kroah-Hartman氏は、「行動規範(Code of Conduct)」に再度取り組むことも明らかにしている。

Linus Torvalds氏のメール
https://lkml.org/lkml/2018/9/16/167

行動規範(Code of Conduct)について
https://git.kernel.org/pub/scm/linux/kernel/git/torvalds/linux.git/commit/?id=8a104f8b5867c682d994ffa7a74093c54469c11f