ASFがReact.jsなどが使うFacebookのオープンソースライセンスを禁止、Facebookは「変更しない」と発表

 JavaScriptライブラリ「React.js」をはじめとした米Facebookのオープンソースプロジェクトについて、オープンソースのライセンス問題が持ち上がっている。Apache Software FoundationがFacebookプロジェクトを使用禁止としたことが発端だが、Facebookはこれについてライセンスを変更することはないと発表した。

 Facebookは複数のオープンソースプロジェクトを抱えるが、これらの成果物では標準のBSDライセンスに特許紛争に関わる条文を加えたライセンスを採用している。このライセンスの背景として、Faceobookは特許訴訟などを事業とするパテントトロールからの防御のためと説明している。もしFacebookを相手取って任意の特許について訴訟を起こした場合、ライセンスは失われることになる。

 これについて、HTTP Serverを始め350以上のオープンソースプロジェクトを擁する非営利団体Apache Software Foundation(ASF)の法務担当Chris A. Mattmann氏は7月半ば、このライセンスを使用禁止とする「Category X」リストに加えると発表した。Category X(Cat-X)に分類されたライブラリはApacheプロジェクトに含むことができなくなる。

 Mattmann氏はまた、すでにこのライセンスが適用されているコンポーネントを使っていたりリリースに含まれている場合は、8月31日まではCat-Xから一時除外が適用されるとし、その間に代替を探すか、削除してプロジェクトを進める必要があると記している。

 これを受け、「Apache CouchDB」でこのライセンスに該当するReact.jsを使っているという開発者は、RocksDBがApache License 2.0とGPL 2ライセンスに再ライセンスしたことを参照しながら、React.jsに対しても同様に再ライセンスを求めた。

 8月に入りFacebookはブログにて回答し、ASFの動きによりReact.jsが大きな影響を受けること、再ライセンスを求める声を受け取っていることを認めながら、「ASFとFacebookとではオープンソースソフトウェアをどのようにメンテナンスし、ディストリビューションするのかで見解が異なる」とした。変更すると大きな法務コストを負うリスクがあるとし、「変更を検討したが、現時点ではデフォルトのライセンスもReact.jsのライセンスについても変更する計画はない」としている。

 また、Facebookはこのライセンスで提供されているコードは、BSD、MIT、Apache License 2.0、GPLなどのオープンソースライセンスと組み合わせて配布できる点も強調している。

 オープンソース業界に大きな影響を与え、Open Source Initiativeの設立者でもあるBruce Perens氏は、Facebookのライセンス方針を「強い」報復条項とし、オープンソース界では通常「弱い」報復条項が使われていると解説する。「企業がReact.jsを使う場合、Facebookに自分たちの特許ポートフォリオ全体をライセンスすることが求められている」とし、「もしFacebookがReact.jsソフトウェアで使われている特許許可について訴訟を起こす場合はライセンスが終了する(=弱い報復条項)というのならOKだ」と記している。

Apache Software Foundation
https://www.apache.org/

Facebook React.js
https://facebook.github.io/react/