大規模ユーザーに対応、プッシュ通知も加わった「Nextcloud 12」が登場

 オープンソースのオンラインストレージソフトウェア「Nextcloud」開発チームは5月22日、最新版となる「Nextcloud 12」のリリースを発表した。数万人ユーザーに対応する新アーキテクチャの導入やプッシュ通知のサポートなど多数の機能が加わっている。

 Nextcloudはオンラインストレージソフトウェア「ownCloud」の主要開発者がフォークして立ち上げたソフトウェア。Nextcloudを利用することで、さまざまなファイルをアップロードしたり、カレンダーや連絡先リストを共有するシステムを自前のサーバーで構築できる。また、Nextcloudのパートナー事業者によってクラウド形式で利用できるサービスも提供されている。

 Nextcloud 12は2016年12月に公開したバージョン11に続く最新版。本バージョンでは新たに「Global Scale」アーキテクチャを導入した。バージョン11で規模の大きな組織向けの機能として導入した性能強化に続くもので、負荷分散、ホスティングセンターのアップリンク、データベースなどの共有コンポーネントの必要性をなくすことで、万単位のユーザーが利用するサービスを構築できるようになった。拡張性の向上に加えて、異なる国や大陸にある複数のデータセンターを横断的に利用することも可能になった。

 Webインターフェイスも強化され、機能ごとの「アプリ」を前面にしたデザインになった。アプリの切り替えも容易になったという。また、トップバー右に「Contacts」メニューを導入、メンバーに簡単に通話、メール、チャットができるようになった。コラボレーションと通信機能の統合を進め、共有、コメント、通知などで関連するユーザーのアバターが表示されるようになった。クリックによりその人物にアクセスできる。

 動画通話アプリではNextcloudインスタンスからブラウザ内で安全に動画通話が可能で、ドキュメンテーションを共有したり、Nextcloudに保存できるようになった。リアルタイムでの画面の共有も可能になった。プッシュ通知のサポートも加わり、ファイルの追加、コメントなどについて通知を受けることができるようになった。プッシュ機能はまずWebで有効となり、モバイルアプリでも間もなく利用できるとしている。

 Filesアプリも強化し、フォルダの共有や、メニュー間のファイル移動が容易になった。公開リンクを利用しての複数のユーザーとの共有では、個別に読み込み/編集などの制限を設けたりパスワード保護や有効期限を設ける機能が加わった。

 管理者向けも強化し、一時的に制限のあるアクセスを付与できるGuestアプリ、容量を警告するQuota Warningアプリ、NextcloudページにJavaScriptを挿入できるJSloaderアプリ、インスタンスのバックアップができるBackupアプリなどが加わっている。

 Nextcloud 12はプロジェクトのWebサイトより入手できる。

Nextcloud
https://nextcloud.com/