「Ubuntu 17.04」(Zesty Zapus)リリース

 英Canonicalは4月13日(英国時間)、Linuxディストリビューション「Ubuntu 17.04」(開発コード「Zesty Zapus」)を公開した。コンテナ、クラウドを中心に機能強化が図られた一方で、32ビットのPowerPCサポートは削除となった。

 4月と10月、年に2回行われている定例リリースで、今回で累計26回目のリリースとなる。開発コード名も26文字あるアルファベットの最後の文字「Z」に到達した。サポート期間は2018年1月まで。なお最新の長期サポート(LTS)版は2016年4月に公開された「Ubuntu 16.04」(Xenial Xerus)。

 Linuxカーネル4.10をベースとし、X.Org Server 1.19.3、Mesa 17.0.3などを採用した。デフォルトのDNSレゾルバがsystemd-resolvedとなった。

 このところ強化しているコンテナでは、LXDがバージョン2.12となり、コンテナマシン内でNvidia CUDAなどGPUサポートを実現した。Storage API for LXDにより、複数のストレージプールを作成して、LXDマシンコンテナへのボリュームのアタッチができるようになった。

 コンテナ関連では、CanonicalはGoogleのKubernetesサービスGKEと100%互換の「Canonical Distribution of Kubernetes 1.6」を4月12日を発表している。

 新しいアプリケーションパッケージ「Snaps」についてはすでに10以上のLinuxディストリビューションでサポートされており、2016年4月の「Ubuntu 16.04」公開から1000以上のSnapsが公開されているという。CanonialはSnapsのデスクトップ環境へのスムーズな統合を実現するため、KDEやGNOMEと協業しているという。

 クラウドインフラストラクチャのOpenStack関連では、2月に公開されたばかりの最新版「Ocala」をサポートし、ワークロードに支障を与えることなく起動中のクラウドをアップデートできるようになった。OpenStackの共有ファイルシステム機能Manilaのサポートや、LDAP統合の強化なども行われた。さらにCells v2の導入によってキャパシティの要求変更に合わせてクラウドの規模を容易に拡張できるようになったという。OpenStackのビルド、運用、移管を提供するCanonicalの「BootStack」サービスでは、サーバーまたは仮想マシンを単位とした固定価格で長期的なオペレーションを提供するオプションが加わった。

 仮想化関連では、Linuxカーネルのネットワーク性能強化により、Amazonの「Elastic Network Adaptor(ENA)」ドライバ利用時のAmazon Web Services(AWS)上のネットワーク速度が最大20Gbpsまで高速化されたほか、MicrosoftのAzureではSR-IOVサポートによりAzureゲストが直接ハードウェアのNICにアクセス可能となった。これによりスループットの改善と遅延低下が図れるという。

 このほか、qemu 2.8、libvirt 2.5など、各種パッケージも新しくなっている。

 デスクトップ版では、独自インターフェイスのUnity(「Unity 7」)の安定性を強化した。なおUnityは先に方針変更が発表されており、次期「Unity 8」の開発は終了となっている(2018年4月公開予定のLTS版より、GNOMEを採用する)。GTKやQt、Firefox(バージョン52.0.1)やLibreOffice(バージョン5.3)などのパッケージもバージョンが更新されている。

 インストーラも改ざんされ、swap領域がswapファイルとして実装されるようになった。インストール時のパーティションレイアウトが簡素化され、ディスク容量を節約できるという。また本バージョンより、gconfツールに変わってgsettingsがデフォルトでインストールされる。

 Ubuntu 17.04はプロジェクトのWebサイトより入手できる。Ubuntu 16.10ユーザーは自動アップグレードが提供される。

 なお、本バージョンより32bit版のPowerPCプロセッサのサポートが終了となった。また、Kubuntu、Xubuntu、Ubuntu MATE、Ubuntu GNOMEなど通常のフレーバーに加えて、新たに「Ubuntu Budgie」(Budgie Desktop Environmentを統合した軽量版)も登場した。

Ubuntu
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