Webサーバー「Nginx 1.12」リリース、動的なモジュールの組み込みなどをサポート

 オープンソースのWebサーバーNginx開発チームは4月12日、最新の安定版「Nginx 1.12」を公開した。

 NginxはHTTP/HTTPSに対応するWebサーバーやリバースプロキシ、メールプロキシサーバー、汎用のTCP/UDPプロキシサーバーなどの機能を備えるソフトウェア。米NetflixやロシアのYandex、Mail.Ruなどで使われている。昨今利用者数を増やしており、W3techsの最新の調査によるとNGINXのシェアは33%となっているという。

 Nginxチームは毎年4月に安定版をリリースすることになっており、Nginx 1.12は2016年4月に公開されたバージョン1.10に続くものとなる。同時に1.13もリリースしているが、こちらは新たなメインラインブランチとして新機能の開発の場となる。Nginx 1.12は1年後の次期版まで主要なバグの修正が行われる。

 1.12はこれまでメインラインブランチとして開発されてきた1.11をベースとしたもの。動的にモジュールを読み込ませる機能が新たに導入された。すでに120以上のモジュールがオープンソースで公開されており、これらをソースからコンパイルすることなくNginxで利用できるという。

 また、リバースプロキシとして利用する際、Nginxはデフォルトで独自IPアドレスをソースのIPアドレスとして使ってアップストリームのサーバーと接続するが、新たにクライアントのIPアドレスをソースIPアドレスとして使うように保存するIP Transparency機能が加わった。また、Direct Server Return(DSR)として、アップストリームサーバーが元の遠隔にあるクライアントからのパケットを受け取って直接レスポンスする機能も導入した。

 TCP/UDPリザーブプロキシと負荷分散機能を提供するStreamモジュールも強化され、Map、Return、Geo、GeoIPなどのモジュールを導入した。SSL/TLSを終了することなくClientHelloメッセージから情報を抽出するSSL/TLS Prereadモジュールも加わった。

 キャッシュの性能改善や、バックグラウンドでキャッシュを更新するオプションなども加わった。さらに独自に実装されたスクリプティング機能であるnginScriptも正式に導入されている。サーバーサイドなどの用途に向けて設計したもので、HTTPとStreamモジュールと密に統合されている。複数種類のSSL証明書のサポート、HTTP/2関連機能の修正なども加わった。

Nginx
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