オープンソースのクラウド基盤「OpenStack Ocata」リリース

 オープンソースのクラウド基盤「OpenStack」開発チームは2月22日(米国時間)、最新版となる「OpenStack Ocata」を発表した。マイクロサービス化を進めつつ安定性と性能にフォーカスした。また、今回のリリースは「一度限り」という普段よりもリリースサイクルを短縮化したリリースとなっている。

 OpenStackはクラウドインフラストラクチャを構築ためのクラウド基盤技術で、パブリッククラウドやプライベートクラウド、ハイブリッドクラウドなどさまざまな形式のIaaS(Infrastructure as a Service)型サービスを構築できる。米航空宇宙局(NASA)とRackspaceが開始し、現在で主要なベンダーが参加する大規模なオープンソースプロジェクトに発展している。主要な機能はコンポーネント化されており、演算ノードを構築するための「Nova」やオブジェクトストレージ「Swift」、ブロックストレージ「Cinder」、仮想マシンイメージ管理「Glance」、ネットワーク構成管理「Neutron」、管理ダッシュボード「Horizon」、IDサービス「Keystone」などで構成される。母体はThe OpenStack Foundation。

 今回リリースされたOcataは、2016年10月に公開された「OpenStack Newton」に続く15回目のリリースとなる。OpenStackは通常6か月おき(4月と10月)、年2回のリリースを行っているが、今回はイベントに合わせて前回のリリースから4ヶ月でのリリースとなった。今回のリリースでは52カ国から約2000人・265組織が開発に参加したという。

 目玉の一つがコンテナ関連の強化だ。OpenStackサービスのコンテナ化を進め、実装やアップグレードなどの管理を容易にした。開発チームによると、コンテナ化されたOpenStackサービスの「Kolla」、コンテナネットワーキングとストレージを利用できるようにする「Kuryr」、コンテナ管理の「Zun」の3プロジェクトは、今回のリリースサイクルで貢献が最も多かったという。各プロジェクトの強化も進んでいる。コンテナサービス「Magnum」では、Mesosphere DC/OSのクラスタを取り扱えるようになり、KollaではKubernetesを制御プレーンでサポートした。KuryrはDocker Swarmを利用できるようになったほか、Cinderと「Manila」(ファイル共有サービス)と接続するためのサブプロジェクト「Fuxi」が立ち上がった。

 このほか、Nova、Horizon、Keystoneなど各プロジェクトでも新機能が加わっている。たとえば、Novaではアプリケーションのニーズに応じてインテリジェントにリソースを配分できるplacement APIを導入したほか、拡張性機能のCell v2がデフォルトとなった。また、Cinderでは高可用性のActive/Active HAをドライバーで実装できるようになった。

 また、Ocataへのアップグレードの安全性を確認するため、実装をテストできるnova-status updgade checkというコマンドラインインターフェースも用意する。

 開発チームによると、前回のリリースからの市場動向として複数のクラウドを利用する「マルチクラウド」トレンドが顕著となり、OpenStackをプライベートクラウドで利用する顧客が増えているという。

 OpenStack OcataはプロジェクトのWebサイトより入手できる。

OpenStack
https://www.openstack.org/