オープンソースのPython実装「Pyston 0.5」が登場

 JITを採用した高速なPython処理系を開発するPystonプロジェクトは5月26日、「Pyston 0.5」を公開した。Refcountingの採用、NumPyのサポートなどの機能強化が図られている。

 Pistonは米Dropboxが2014年4月に発表したオープンソースプロジェクトで、Pythonの標準実装(CPython)と互換性を持つ、より高性能なPython実装を目指して開発を行っている。JIT技術を利用し、CPythonのC拡張モジュールをネイティブでサポートする。

 Pyston 0.5は2015年11月に公開したバージョン0.4に続く最新版。追跡型GC(Tracing Garbage Collector)に代わってReference Counting(Refconting)型のGCを導入した。Refcountingは速度や機能の面で劣ると見られることもあるが、採用した理由としてCPythonがRefcountingを利用していることや、refcountingの特別なプロパティに依存するコードをサポートすることなどを挙げている。

 また、数値計算ライブラリ「NumPy」がフルサポートされた。これによって特別な修正を加えることなくNumPyを利用できるという。シグナルハンドルのサポートも加わり、利用できるC API関数も増えた。ジェネレータークリーンナップも加わっている。

 性能については0.4と比較すると約10%劣るとしている。性能鈍化の原因は主としてrefcountingへの移行にあるとしており、次期版の0.6では性能改善にフォーカスするという。

 対応アーキテクチャはx86_64で、プロジェクトのWebサイトより入手できる。Ubuntuでの動作は確認しているが、その他のプラットフォームやPython 3との互換性などはこれからという。プロジェクトは、Pystonはまだアルファ段階であり、Pythonコードは動くが、またエンドユーザーにとって有用な段階ではないとしている。

Pyston
http://www.pyston.org/