高性能を目指す米DropboxのPython実装「Pyston」バージョン0.3リリース

 Dropboxが手がける独自のPython実装「Pyston」開発チームは2月24日、最新版「Pyston 0.3」を公開した。互換性、性能にフォーカスした改善が図られている。性能ではCPythonに匹敵するレベルになったと報告している。

 Dropbox社内ではPythonが利用されているが、問題の規模が大きくなるにつれてパフォーマンス的な問題が見られるようになったという。そのため、独自に高速なPython実装を開発することになったそうだ。Pystonは高い性能と互換性を目標とし、LLVMやJIT(Just In Time)などの技術を採用する。Python 2.7と互換性があり、Pythonの標準実装(CPython)のC拡張モジュールをネイティブでサポートする。対応プラットフォームはx86_64のみ。ライセンスはApache License 2.0。

 2014年4月にプロジェクトを発表しバージョン0.1をリリース、9月にバージョン0.2をリリースしていた。今回リリースされたバージョン0.3では、内部スクリプトをすべてPyston上で動かせるようになり、「セルフホスティング」を実現した。また、バージョン0.2ではPython標準ライブラリや拡張モジュールのうち、56のライブラリと12の拡張モジュールのみが利用できたが、本バージョンでは117のライブラリ、27の拡張モジュールが利用できるようになったという。ただしimportができることののみの確認で、個別の検証はしていないとのこと。この数はCPythonのライブラリと拡張モジュールの半分であり、やるべき作業が残っていると述べている。

 性能については、各ベンチマークではばらつきがあるものの、ベンチマークスイートではCPythonより1%高速になったと報告している。なお、CPythonと比較すると、定常状態では優れるが起動時間では劣るとのことだ。

 今後の計画については、フルタイムの開発者が増えたことで開発を加速していくとしている。プロジェクトでは現在Pyston上でDropboxを動かすという目標を掲げており、言語とランタイムのサポートや性能を強化していくという。当面の優先事項は、大規模なアプリケーションを動かす機能の開発とのことだ。

Pyston
http://www.pyston.org/