Googleが次期「Chrome 50」で搭載のJavaScriptエンジン「V8 5.0」を発表

 Googleは3月15日、JavaScript実行エンジン「V8」の最新版「V8 5.0」を発表した。ECMAScript 2015(ES6)のサポート強化などが加わるもので、4月後半が見込まれる「Chrome 50」安定版リリースに合わせて正式版となる。

 V8はGoogleが作成するJavaScriptエンジン。C++で実装されており、ECMASciptの標準規格であるECMA-262に準拠する。GoogleのWebブラウザ「Google Chrome」や「Android Browser」に組み込まれているほか、Node.jsのJavaScriptエンジンとしても使われている。ライセンスは修正BSDライセンスで、Windows XP以降、Mac OS X 10.5以降、Linux(IA-32/ARM/MIPS)をサポートする。

 V8のリリースプロセスはChromeと密に結びついており、Chromeがベータに達するときにブランチができる形になっている。V8 5.0は3月10日に公開されたChrome 50のベータ版でリリースプロセスに入っており、Chrome 50の安定版リリースとともに安定ビルドがリリースされる。なお、バージョン番号の「5.0」はメジャーリリースを意味するのではないという。

 V8 5.0ではECMAScript 2015(ES6)のサポートを正規表現関連を中心に強化した。正規表現マッチングのために新しいUnicodeモードに切り替えるRegExp Unicodeフラグ(uフラグ)を導入、マッチングのセマンティックを変更するRegExpサブクラスのカスタマイズフックもサポートした。

 性能面も改善され、パラメーターの実装によりES6とES5の既存機能の性能を強化した。一部では前バージョン比8〜10倍の性能改善も見込めるという。

 V8開発チームは同日、WebAssemblyの実験的サポートも発表している。WebAssemblyはGoogle、Microsoft、Mozilla、Appleなどが参加するW3C WebAssembly Community Groupで開発中のローレベルのバイトコード。高い移植性があり、コンパクトなバイナリフォーマットにエンコードされ、サンドボックスでネイティブバイナリに近いスピードで実行することを想定している。GoogleはV8とChromiumで実験的にサポートする。

V8 JavaScript Engine
https://github.com/v8/