ロックダウンによる性能強化の成果を盛り込んだ「HHVM 3.8」リリース

 HHVM開発チームは7月13日、PHP/Hack向けの実行環境「HHVM 3.8.0」のリリースを発表した。性能の強化に主眼が置かれたリリースとなり、たとえばWordPressに対し適用した場合、性能が10%近く改善されるという。

 HHVM(HipHop Virtual Machine)は米Facebookによるプロジェクトで、PHPやFacebookのプログラミング言語Hackで作成されたプログラムを実行するための仮想マシンを開発している。PHP開発の柔軟性を維持ししつつJITコンパイラアプローチによる性能の強化を図るのが目的。PHP 5.2と APC(Alternative PHP Cache)の組み合わせと比較すると、Webリクエストのスループットは9倍高速となり、メモリ使用量は5倍削減できるという。ライセンスはPHP LicenseとZend Engine License。

 HHVM 3.8は、5月にリリースしたHHVM 3.7に続くアップデートとなる。安定性の理由によって当初の予定より遅れて登場した。大きな特徴は性能の強化となる。

 開発チームは7月初め、WordPress、Drupal 7、MediaWikiを対象に2週間にわたるロックダウンにより、機能、動的プロパティ、文字列の連結、ファイルキャッシュなどの最適化を図った。この結果、RPS(1秒あたりのリクエスト処理数)がMediaWikiの場合19.4%改善するなどの成果が得られた、と報告していた。本バージョンではこの性能強化が盛り込まれたほか、Facebook社内の性能チームのロックダウンの初期結果も取り込まれている。これにより、バージョン3.7と比較してWordPressのRPSを最大9.7%、Deupal8(キャッシュなし)のRPSを最大13.9%改善すると報告されている。

 HHVM 3.8はプロジェクトのWebサイトより入手できる。ソースコードに加え、UbuntuおよびDebian向けのパッケージも公開されている。

HHVM
http://hhvm.com/