オープンソースのコンピュータービジョンライブラリ「OpenCV 3.0」リリース
Open Computer Vision(OpenCV)開発チームは6月4日、オープンソースのコンピュータービジョン・機械学習ライブラリ「OpenCV 3.0」をリリースした。今まででもっとも高機能で高速なものになっているという。
Open Computer Vision Library(OpenCV)はコンピュータービジョンおよび機械学習向けの機能を提供するライブラリ。C/C++やPython、Java向けのインターフェイスが用意され、WindowsやMac OS X、Linux、iOS、Androidをサポートする。2500種以上の最適化されたアルゴリズムを持ち、コンピュータービジョンアプリケーションに共通のインフラを提供することを目指す。これらアルゴリズムを利用して動画に映る顔の検出や認識、行動の分類、オブジェクトからの3Dモデル抽出などを実現できるという。Google、Yahoo!、Intelなどの多数の企業で利用されており、ライセンスはBSD License。プロジェクトは現在、ロシアitseezの出資を受けている。
OpenCV 3.0は2009年に公開されたOpenCV 2.0に続く最新のメジャーバージョンとなる。これまででもっとも多機能かつ高速で、安定性に優れるとしている。
新機能として、OpenCLを利用したGPUアクセラレーションレイヤーTransparent API(T-API)を導入した。100近くのOpenCL機能を利用できる。OpenCLのコンパイル時間やランタイム依存が加わることなく、OpenCLを検出して利用できるという。コンパイルやランタイムで無効化することも可能とのこと。
また、約40種類のOpenCV関数で、ARMの拡張命令であるNEONの組み込み命令を利用できるようになった。これらの多くは基本的な機能を提供するものであるため、これらの関数自体だけでなくほかの高レベル関数も高速化されるという。NEON向けに最適化されたコードの作成を簡素化するOpenCV HALレイヤーも加わった。今後、オープンソースとプロプライエタリの両方のOpenCVアクセラレータの土台にしていくという。
元々の開発者であるIntelよりIntel IPP(IPPCV)のサブセットが寄贈され、x86およびx64のWindows、Linux、Macのデフォルトとした。JavaとPythonバインディングの改善や、実験的なMATLABバインディングの導入も行われている。WinRTとAndroidの各OSのサポートも強化された。
3.0リリースに合わせてopencv_contribリポジトリも追加された。3.0のみと互換があり、すでに新しい機能が用意されているという。
開発チームによると、OpenCV 3.0は2系の最新版2.4と互換性があるが、古いアルゴリズムや機能を削除しており、一部で注意が必要だという。プロジェクトのWebサイト上でマイグレーションガイドも用意している。また、バージョン番号付けについても3.0より変更し、小数点を2つ挟んだ3桁(例:2.4.9)は中間のアップデートに用い、2桁(3.0、3.1など)でリリースを行なっていくという。
OpenCV.org
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