「Firefox 33」リリース、OpenH264をサポート

 Mozillaは10月14日、オープンソースのWebブラウザ「Firefox 33」を公開した。デスクトップ版では新たにH.264のオープンソースソフトウェア向け実装「OpenH264」をサポートしたほか、Android版ではChromecastを使った動画の転送がサポートされている。

 Firefoxは6週間おきに新バージョンをリリースするリリースサイクルを定めており、そのスケジュールに従った新版リリースとなる。WindowsおよびMac OS X、Linux向けのデスクトップ版と、Android向けのモバイル版が用意されている。

 デスクトップ版ではWebブラウザ内で音声・ビデオ通話を可能にするWebRTCの強化を継続し、新たにOpenH264をサポートした。OpenH264はロイヤリティフリーのプラグインで、米Cisco Systemsが2013年秋にH.264の自社実装のオープンソース版として取り組みを開始した。これにより、ライセンス管理団体であるMPEG LAにライセンス料を払うことなくH.264動画のデコードやエンコード機能を利用できる。Mozilla開発者は、「(ロイヤリティフリーではない)H.264と競合するロイヤリティフリーのコーデックの受け入れはそれほど進んでいない」「VP8は、H.264をリプレースするのに十分な受け入れが得られていない」と現状を説明している。同時に、今後もVP8のサポートも継続するとしている。

 また、ロケーションバーからの検索を改善し、精度を高めた。検索結果の表示が5秒程度短縮されるという。JavaScriptの文字列処理も改善された。

 スタート画面 (about:home) と新規タブ画面(about:newtab)では検索にサジェスト機能が加り、タイル機能も拡充された。セッション復元機能も大幅に強化されており、バックアップ機能とデータの損失予防の両方を改善した。セキュリティではこのほか、新しいCSP(Content Security Policy)のバックエンドを実装し、HTTP経由でHTTPプロキシに接続できるようになった。

 開発関連ではDOMMatrixインターフェイスの実装、WebCryptoでwrapKeyとunwrapKeyの実装とRSA-OAEP、PBKDF2、ECDH、AES-KWのサポートなどが特徴となる。開発ツール、インスペクタも強化されている。

 Android向けでは、ChromecastやRokuといったデバイスへのストリーミング転送をサポートし、これらに動画を転送できるようになっている。転送できる動画にはアドレスバーにそれを通知するアイコンが表示され、そのアイコンをタップすることで同一の無線LANネットワーク上にあるRoku/Chromecastデバイスにそれらを転送できるという。

 このほか閉じたタブのアンドゥ、最近閉じたタブの一覧表示が可能となり、ブラウザ終了時にデータを消去できる機能も加わっている。

Mozilla
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