新たなHTTPキャッシュ機構や公開鍵ピンニングなどの機能を導入した「Firefox 32」リリース
Mozillaは9月2日、Webブラウザの最新版「Firefox 32」をリリースした。新たなHTTPキャッシュ機構や世代別ガベージコレクションなどの導入により、性能が向上しているという。デスクトップ版のほか、Android向けモバイル版も同時にリリースされている。
Firefoxは6週間ごとに新規リリースを行う方針を示しており、このサイクルに従った最新版リリースとなる。変更点としては、新たなHTTPキャッシュ機構の導入や世代別ガベージコレクションの統合、公開鍵ピンニングのサポート、検索ツールバーでの検索件数表示、コンテキストメニューの改善、パスワードマネージャの履歴表示などがある。
今回導入された新HTTPキャッシュ機構は約1年がかりで開発したというもので、ページの初回表示時におけるリクエスト優先順位の最適化や書き込みの調整、先読み込みなど多数の機能を持ち、性能を改善するという。また、前バージョン(Firefox 31)で有効化が見送られていた世代別ガベージコレクション統合も実現した。
公開鍵ピンニングはSSL証明書の有効性を検証する機構で、これによって偽のSSL証明書などの不正行為を検出が可能となり、中間者攻撃(man-in-the-middle攻撃)対策につながるという。Google Chromeなどですでに実装されている機能で、Firefoxではソースコードに埋め込む形(Chromiumのピンセットをインポートする)かHTTPヘッダで通知する形で機能を提供する。
使い勝手も改善し、コンテキストメニューでの戻る、次のページに進む、再読み込み、ブックマークなどの操作を改善した。検索ツールバーに検索結果件数が表示されるようになり、パスワードマネージャでログインに関する利用情報を確認できるようになった。パスワードマネージャとアドオンマネージャでは性能も改善したという。
HTML5サポートも改善され、W3Cの最新仕様に合わせたVibration APIの更新、drawFocusIfNeeded、mix-blend-mode、CSS position:sticky、box-decoration-breakのデフォルトでの有効化、-moz-background-inline-policyからCSS box-decoration-breakへの置き換えなどの強化が加わった。
開発関連ではDeveloper Tools UIでHiDPIのサポートが加わり、インスペクタボタンが左上に配置変更となった。Web Audio Editorも導入し、Scratchpadにコード補完とインラインドキュメント表示機能が加わった。
Android版では言語切り替え機能を導入し、インストール時の言語に関係なくサポートする55種類の言語を、再起動なしに切り替えられるようになった。ホーム画面のカスタマイズ機能も強化され、Instagram、Pocket、Vimeo、WikipediaなどさまざまなWebサイトやフィード、サービスに直接アクセスできるようになった。ホーム画面をアドオンのように追加・管理することもできるという。履歴パネルからの履歴消去機能やGamepad APIサポートなども追加されている。