Linuxコンテナ技術のDockerがついに正式版に、「Docker 1.0」リリース

 オープンソースのLinux向けコンテナ管理ツール「Docker」開発チームは6月9日、初の正式版となる「Docker 1.0」をリリースした。コンテナと呼ばれる仮想環境の作成や管理を行うツールで、本バージョンは機能やAPIの安定性などで運用環境で利用できる品質という。

 Dockerは「コンテナ」と呼ばれる隔離された環境の作成や管理、そこで実行されるアプリケーションに必要なソフトウェアのデプロイといった機能を持つソフトウェア。以前はコンテナの作成に「Linux Container(LXC)」を使用していたが、バージョン0.9からは独自のライブラリであるlibcontainerを採用、LXCに依存せずコンテナの作成や管理が可能となった。軽量のランタイム・パッケージングツールの「Docker Engine」、アプリケーション共有やワークフロー自動化のためのクラウドサービス「Docker Hub」なども用意されている。開発者はさまざまなツールチェーンを利用して、あらゆる言語でアプリケーションを構築し、あらゆる環境で動かすことができるという。

 2013年3月に初回のリリースを公開以来、15か月間でのバージョン1.0リリースとなる。この間、460以上の開発者から約8500ものコミットがあり、ダウンロードは275万回、Dockerを利用してコンテナ化されたアプリケーションは1万4000以上だという。

 バージョン1.0では各機能の完成度、後方互換性、APIの安定性などが向上し、エンタープライズレベルでの運用を含む運用環境で利用できるレベルになっているという。また、新機能として新たに「COPY」コマンドが加わった。これを利用して、ビルド環境からそのままファイルやフォルダをコピーできるという。「ADD」コマンドの強化も行われた。

 Docker Engineではコンテナの一時停止と再開が可能となり、システムリソースのスケジューリングを改善できるという。デバイスアクセス用のセキュリティプロファイルも更新した。ファイルシステム/ストレージではDevice Mapperを強化し、XFS対応が加わった。物理デバイスを利用できるようになり、コンテナ削除のパフォーマンスを改善した。開発チームはまた、Docker EngineがIANA(Internet Assigned Numbers Authority)よりポート番号2375と2376の付与を受けたことも発表している。2375はDocker APIのHTTPトラフィックに、2376はHTTPSトラフィックに利用するという。

 Docker EngineはプロジェクトのWebサイトより入手できる。RHEL、Fedora、Ubuntu、Debianなど主要なLinuxディストリビューションをサポートする。

 開発プロジェクトではバージョン1.0となったことを受け、今後プラットフォームとしてのDockerをプッシュしていく方針という。Dockerはまた、法人向けにサポート、トレーニング、コンサルティングなどの有償サービスを展開することも同日発表している。

米Docker
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