「Ubuntu 13.10」(Saucy Salamander)リリース、スマートフォン向けエディションが新たに追加

 英Canonicalは10月17日、Linuxディストリビューションの最新版「Ubuntu 13.10」(開発コード「Saucy Salamander」)をリリースした。64ビットARMが新たに開発者向けプレビューとしてサポートされているほか、OpenStackクラウド関連の機能も強化されている。

 4月に公開された「Ubuntu 13.4」(Raring Ringtail)に続くリリースとなる。長期サポート版(LTS)ではないため、メンテナンスアップデートのリリース期間はは9か月間で、2014年7月まで提供される。なお、最新のLTSは2012年4月に公開された「Ubuntu 12.4」で、2017年までサポートされる。

大きな特徴としては、ARMサポートの強化がある。ARM搭載のスマートフォンがサポートされたほか、「HP Moonshot」などARMベースのサーバーサポートも強化された。新たに導入された64ビット版ARMのサポートはまだ開発者プレビュー段階だが、開発者がテストを行うには十分な段階になっているとのこと。

 Ubuntu 13.10ではDesktopおよびServer、Cloud、Phone、Coreといったエディションが用意されている。いずれもカーネルにはLinuxカーネル3.11.3を採用しているが、エディションごとにデフォルトの構成は微妙に異なるものになっている。

 Phoneエディションはスマートフォンに最適化されたOSコアとモバイル向けUIで構成され、ARMを搭載したスマートフォンで動作する。UIにはCanonicalが開発を推進している新ディスプレイサーバー「Mir」とUnity 8の組み合わせで実現されており、また、セキュリティ機構AppArmorによるアプリケーションの機能制限なども実装されているとのこと。ただし、まだ実装は完全ではなく、次期バージョン(14.04)に向けて開発が進められているとのこと。そのほか、HTML5ビデオストリーミング再生におけるハードウェアアクセラレーションやWebブラウザ関連、各種アプリケーションなどでまだ不具合や未実装の機能が残っているようだ。

 Desktopエディションはモバイルでの開発を反映し、メモリ効率と消費電力を大幅に強化した。Unityのバージョンは7で、Mirはオプションとしてサポートする。

 デスクトップ関連ではアプリケーションやファイルを検索できる「Ubuntu Dash」を強化したほか、Desktop「SmartScope」が導入した。SmartScopeはさまざまなScope(検索ロジック)の結果を自動的に組み合わせるもので、ユーザーの利用を学習することで結果を改善するという。Webブラウザでは、一時期Chromiumへの切り替えが検討されたがデフォルトは「Firefox」のままとなった。このほか、「LibreOffice 4.1」など各種アプリケーションは最新のものになった。

 ServerではOpenStackに関連した機能が強化された。OpenStackは最新版の2013.2(Havana)をサポートし、大規模な実装だけでなく、小規模なクラスタ環境でのクラウド実装でも利用できるように調節した。システム管理「Landscape」では物理環境に加えてOpenStackベースのクラウド、その上に実装したワークロードの管理が可能で、ポリシー遵守や性能のモニタリング、セキュリティアップグレードツールなどの機能を提供する。OpenStackではまた「VMware vSphere」との統合も強化し、ESXiユーザーはOpenStackとの相互運用が可能という。Canonicalによると、OpenStack HavanaはUbuntu 12.04ユーザーも利用できるという。

 サービスの定義、設定、実装を行うサービスオーケストレーションツール「Juju」も強化、GUIまたはコマンドラインを利用してソフトウェア環境やサービス全体をバンドルとして実装できるようになった。LXC(Linux Container)コンテナの管理もサポート、これにより複数のサービスを同一の物理マシンまたは仮想マシンで動かせるという。

 Ubuntu 13.10はCanonicalのWebサイトより入手できる。

Ubuntu
http://www.ubuntu.com/

英Canonical
http://www.canonical.com/