「Ubuntu 13.04」リリース、軽量化やパフォーマンス向上、クラウドサポートの強化などが行われる

 英Canonicalは4月25日(英国時間)、LinuxディストリビューションUbuntuの最新版「Ubuntu 13.04」(コードネーム「Raring Ringtail」)を公開した。モバイルデバイスの普及拡大に備え、低スペックなハードウェア上でも十分なパフォーマンスを提供できるよう改善が加えられているという。また、サーバー版UbuntuではOpenStackのサポート強化やHA(高可用性)機能の提供などの強化が加えられている。

 Ubuntu 13.04は、2012年10月に公開した「Ubuntu 12.10」(Quantal Quetzal)以来の最新版となる。搭載するLinuxカーネルのバージョンは3.8.8。なお、Canonicalは3月にサポートに関するポリシーを変更しており、通常版のサポート期間が18か月から9か月に変更されている。これに従い、13.04のサポート期間も9か月となっている。

 デスクトップ版(Ubuntu Desktop)では、性能と品質に大きなフォーカスを置いたとのことで「最も高速で視覚的に洗練されたUbuntu体験ができる」とうたっている。とくに軽量なハードウェア上での性能を強化し、レスポンス時間の短縮やメモリフットプリントの縮小を実現するという。Ubuntuはスマートフォンやタブレットなどモバイルフォームファクタでのリリースを予定しており、これに向けた準備となる。

 さまざまなソーシャルネットワークサービスのアカウントをUbuntu Online Accounts経由で管理できる新サービス「Friends」も導入された。また、開発者向けテスト用としてCanonical開発の次世代ディスプレイサーバー「MIR」もオプションで提供される。Canonicalは1つのコードベースでデスクトップ版、モバイル版、サーバー版という異なるエディションをカバーする方針で、MIRは将来的にX Windows Systemsを置き換えるものになるという。「MIRは携帯端末とPCの間でシームレスな融合を実現する」と説明している。

 initデーモン「Upstart」のユーザーセッション機能も技術プレビューとして加わったほか、Unityによるプレビューのアニメーション、ウィンドウスナップのアニメーション、性能など、さまざまな機能強化も追加されている。シャットダウンダイアログも新しくなった。提供されるアプリケーションやデスクトップ環境のバージョンも「GNOME 3.8」や「Python 3.3」(デフォルトはPython 2.7)、「Firefox 20」、「LibreOffice 4.0」、「Rhythmbox 2.98」など新しいものにアップデートされている。

 サーバー版(Ubuntu Server)では、OpenStackを中心としたクラウド技術のサポート強化が大きな強化点となった。4月初めに公開された「OpenStack 2013.1」(コードネーム「Grizzly」)ベースのパッケージが提供され、運用環境向けにOpenStackクラウドを容易かつ高速に実装できるという。OpenStack向けの高可用性(HA)機能も提供する。VMwareとの協業により、OpenStackクラウドと「vSphere」、「Nicira NVP」といったVMware技術と容易に接続できるという。OpenStack関連としては、Landscape管理ツールもOpenStackに対応した。

 サーバー構成管理の「Juju GUI」も改善された。Amazon EC2やOpenStackといったクラウドで動くサービス間の関係を表示することで、ワークロードの実装や管理が容易になるという。Jujuでのサービス実装のための方式を設定した「Juju Charm」も拡大しており、Node.js、Django、Ruby on Railsなど人気のWebフレームワーク、主要データベースなどを含むという。

 細かな機能改善の一方で、WindowsでUbuntuをインストールする「Wubi」、Unityの検索機能を強化する「Smart Scopes」などは搭載が見送られている。

 13.04のリリースと同時に、Canonicalの創業者であるMark Shuttleworth氏は2013年10月にリリースする次期版「Ubuntu 13.10」のコードネームを「Saucy Salamander」と発表している。

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