検索機能などやクラウド対応が強化された「Ubuntu 12.10」(Quantal Quetzal)、ついにリリース

 英Canonicalは10月18日(英国時間)、Linuxディストリビューション「Ubuntu 12.10」(コードネーム「Quantal Quetzal」)をリリースした。オンライン検索機能の改良やWebアプリケーションを一般的なアプリケーションのように利用できる「Web apps」、検索結果のプレビュー機能の強化などが特徴となる。

 Ubuntu 12.10ではデスクトップ版(Ubuntu Desktop)とサーバー版(Ubuntu Server)が用意されており、UbuntuのWebサイト上にあるダウンロードページからはデスクトップ版(i386およびamd64向け)とサーバー版(amd64向け)がダウンロードできる。また、Ubuntuのダウンロードサイト(release.ubuntu.com)ではそれらに加え、i386向けのサーバー版およびARM向け・Mac向けのデスクトップ/サーバー版が提供されている。ARM版はTexas InstrumentsのOMAP4向け、Mac版は64ビット対応のIntel CPUを搭載したMac向けとなっている。

 デスクトップ版では、検索機能である「Dash」の強化が大きな特徴となる。ローカルにあるファイルに加え、Google DriveやFrickr、Facebookなどのサービスについても検索対象となり、また「more suggestion」として「Ubuntu One Music Store」およびAmazonの商品も検索結果として表示される。Amazon検索統合についてはコミュニティの間で議論があったことから、CanonicalはコントロールパネルでAmazon検索を無効にできるようにした。Dashではこのほか、プレビュー機能も強化されている。

 Webブラウザの起動なしにWebアプリケーションを利用できる「Web apps」もサポート、Gmail、Facebook、Twitter、Last.fmなどのWebアプリをネイティブアプリの感覚で利用できるという。5GBまで無料のオンラインストレージサービス「Ubuntu One」では、Windows、iOS、Androidに加えてMac OS Xにも対応(ベータ)し、マルチ端末サポートを強化した。

 サーバー版の「Ubuntu Server」ではクラウド強化が特徴となる。オープンソースのクラウド基盤「OpenStack 2012.10(Folsom)」を統合、ブロックストレージの「Cinder」やネットワーク「Quantum」などOpenStackの最新機能を利用できる。サービスの実装や管理を行うサービスオーケストレーション「Juju」のOpenStackネイティブ対応により、プライベートに加えパブリッククラウドでもJujuを利用できるようになった。このほか、物理マシンのオンデマンドプロビジョニング機能「MaaS(Metal as a Service)」も強化している。

 Ubuntu 12.10ではデスクトップ版およびサーバー版の両方でLinuxカーネル3.5を採用、「GNOME 3.6」や「Python 3.2」、「OpenJDK 7」、「gcc 4.7.2」などをサポートする。アプリケーションも「Firefox 16」や「Thunderbird 16」、「LibreOffice 3.6.2」など最新のものを含む。

 またCanonicalはこの日、米DellがUbuntuを事前インストールしたノートPCをインドで提供することも発表している。

英Canonical
http://www.canonical.com/