2012年度のFree Software Award、個人部門はIPythonのPerez氏が受賞
フリーソフトウェアを推進する非営利団体Free Software Foundation(FSF)は3月23日(米国時間)、2012年度の「Free Software Awards」を発表した。フリーソフトウェアに貢献した人物とプロジェクトを選ぶもので、個人部門はIPythonの開発者であるFernando Perez氏が受賞した。
米マサチューセッツ州で開催されたフリーソフトウェア活動家のためのイベント「LibrePlanet 2013」で、FSF創始者のRichard M. Stallman氏が発表・授与を行った。フリーソフトウェアに貢献した人物に贈られる「Award for the Advancement of Free Software」は、IPythonの開発者であるPerez氏が選ばれた。IPythonは色分け表示機能や補完機能やデバック機能、ログ機能などを持つ高機能な対話的シェルで、WindowsやMac OS X、Linuxなどで動作する。プロジェクトは現在、2013年半ばを予定している初の正式版に向けて開発を進めている段階で、IPythonの技術面での評価に加え、オープンソースコミュニティを率いるPerez氏の手腕にも評価が集まったという。
プロジェクトを対象とする「Award for Projects of Social Benefit」は、人類や地球の観点からみたフリーソフトウェアの活用や貢献に対して贈られる賞。今年は、途上国向けの医療記録システムプロジェクト「OpenMRS」が選ばれた。OpenMRS(Open Medical Record System)は、2004年に創設されたオープンソースの医療記録システムプラットフォームで、Mozilla Public Licenseベースの独自ライセンスの下で公開されている。このプラットフォームを利用することで、プログラミングの知識なしに医療記録システムを設計できるという。ヘルスケアサービスを通じて途上国の生活を改善することを目的としており、南アフリカ、ケニア、ルワンダなどのアフリカ諸国、中国、インドなどさまざまな国で利用されている。
Free Software Awardsのこれまでの受賞者には、まつもとゆきひろ氏(2011年度)、Theodore Ts’o氏(2006年度)Andrew Tridgell氏(2005年度)、Miguel de Icaza氏(1999年度)などが名を連ねる。なお、まつもと氏ら過去の受賞者の多くが、Stallman氏とともに選考をおこなう委員会に参加している。
Free Software Foundation
http://www.fsf.org/
IPython
http://ipython.org/
OpenMRS
http://openmrs.org/