独自の管理UIや高い拡張性を備えたVPSサービス「ServersMan@VPS Perfect」、性能や使い勝手をチェック

 DTIが提供するVPSサービス「ServersMan@VPS Perfect」は、柔軟性や管理性の高さが特徴となるサービスだ。GREEプラットフォームに正式採用されるなど実績のある法人向け管理機能を個人/SOHO向けに最適化して搭載し、ソーシャルゲーム企業やオフィスサーバーとしての利用に適している。本記事ではServersMan@VPS Perfectを実際に試用し、その使い勝手やパフォーマンスをチェックしていく。

ハイパーバイザ型仮想化システムを搭載、柔軟性が高い「ServersMan@VPS Perfect」

 近年、VPS(Virtual Private Server)型レンタルサーバーサービスの普及が進んでいる。VPSはXenやKVM、VMwareといった仮想化技術を用いて物理サーバー上に複数の仮想サーバーを稼働させ、仮想サーバー単位でユーザーに貸し出すものだ。VPSは比較的低価格ながら、仮想サーバーのルート権限が与えられるなど自由度が高いのが特徴となる。今回紹介するServersMan@VPS Perfectも、そのようなVPSサービスの1つだ。

 VPSサービスは現在、国内・海外を問わず多数の事業者が提供しており、DTIもすでに「ServersMan@VPS」というサービスを展開している。しかし、同じVPSサービスといえども、事業者やサービスによって提供される機能はかなり異なる。利用できるメモリ容量やディスク容量といったスペックが異なるだけでなく、利用できるOSに制限がある場合も多い。

 また、VPSサービスではWebブラウザなどからサーバーの操作や管理を行える管理コンソールが提供されている場合が多いが、ここで提供される管理機能についても各社ごとに異なり、シャットダウンや再起動といった操作しか行えないものから、リソース使用量の確認やVPSのコンソールへアクセスなどができるものまで多種多様だ。

図1 ServersMan@VPSのGUIコンソール
図1 ServersMan@VPSのGUIコンソール

 そのなかで、ServersMan@VPS Perfectは可用性およびセキュリティ、拡張性などで他社サービスとの差別化を行っている。

HA構成で可用性を向上

 まず可用性についてだが、ServersMan@VPS Perfectは高可用性(HA)構成のサーバーで運用されており、サーバーに障害が発生した場合でも迅速な復旧が行われるようになっている。これはServersMan@VPS Perfectで採用されている仮想化システム「SiLK VM」によって実現されており、ユーザーがこれを意識する必要はない。たとえばハードウェア障害などで仮想マシンを実行しているサーバーが停止した場合、ユーザーが特に操作を行わずとも、仮想マシンは正常に動作しているほかのサーバーで動作するよう振り分けされる。このように万が一ハードウェア障害が発生した場合でも、ユーザーはそれを意識せずにそのまま仮想マシンを利用できるのだ。ただし、HAは標準で用意されているCentOSおよびDebian GNU/Linux、Ubuntuでのみ利用可能で、ユーザー側で独自にISOファイルからインストールしたOSからは利用できない点には注意が必要だ。

仮想マシン外にファイアウォールを設置、セキュリティを強化

 一般的なVPSサービスの場合、仮想マシン内にユーザーがパケットフィルタリングソフトウェアなどを導入・設定して管理を行うことが多い。いっぽう、ServeresMan@VPSでは仮想マシン内のパケットフィルタリングだけでなく、仮想マシン外に設置されたファイアウォールも利用できる。このファイアウォールは外部からWebブラウザで設定でき、設定ミスによるトラブルなどセキュリティ上の問題を減らすことができる。

任意のOSが利用可能、CPU数やメモリ、ディスク容量などはいつでも変更できる

 さまざまなOSが利用でき、またIPアドレスの追加や利用できるCPU数、メモリ容量などの構成を変更できる拡張性の高さも特徴だ。ServersMan@VPS Perfectでは柔軟性の高い「ハイパーバイザ型仮想化」という方式が採用されており、任意のOSを仮想マシン上で利用できるほか、カーネル自体をカスタマイズしたり、任意のカーネルモジュールを組み込むこともできる。

 契約後にメモリ容量やCPU数を変更することもでき、オプションで仮想マシンの追加も可能だ(表1)。

表1 ServersMan@VPS Perfectで提供される有料オプションと料金
オプション 説明 月額料金
メモリ容量変更 仮想マシンのメモリ容量を変更する 2GB:450円、4GB:1,350円
CPU追加 仮想マシンのCPU数を変更する 2CPU:2,100円、4CPU:6,300円
仮想マシンの追加 利用する仮想マシンを追加する 仮想マシン1台につき3,130円

 従来のVPSサービスでは仮想マシンを増やそうとする場合、再度契約が必要で手間や時間がかかることが多い。ServersMan@VPS PerfectではWeb管理画面の操作だけで仮想マシンを追加でき、即座に利用可能となる。当初は必要最低限のスペックで運用し、要求に応じてスペックアップする、といった運用も容易だ。

ロードバランサーを使った冗長化構成も可能

 ServersMan@VPSではロードバランサーも提供されており、複数台の仮想マシンを使って負荷分散や冗長化も行える。アクセスの多いサーバーを運営する場合、複数のサーバーを用意して負荷を分散するのが一般的だが、このような環境を仮想環境で容易に構築できるのである。ロードバランサーについてもWeb管理画面から容易に設定でき、サービスを運営させた状態でサーバーを新たに追加することもできる。

ServersMan@VPS Perfectプランのスペックと料金

 ServersMan@VPS Perfectで提供される仮想マシンの基本仕様はメモリが1GB、ディスク容量が50GBと、一般的なWebサイト運営であれば十分なものだ(表2)。料金は月額で3,130円である。初期費用等は不要だ。

表2 ServersMan@VPS Perfectの基本スペック
構成要素 スペック
CPU 1仮想CPU
メモリ 1GB
ディスク容量 50GB
OS Cent OS(32bit/64bit)、Debian GNU/Linux(32bit/64bit)、Ubuntu(32bit/64bit)、FreeBSD (これ以外のOSもユーザーが手動でインストール作業を行うことで利用可能)
月額料金 3,130円~(1月31日まで最大1か月基本スペック料金無料)
IPアドレス 最大2(IPv6にも対応)

 なお、ServersMan@VPS Perfectと同様にハイパーバイザ方式を採用したVPSサービスは各社から提供されている。これらをスペックで比較したものが表3となる。各社ごとにスペックや機能に違いはあるが、ServersMan@VPS Perfectは任意のOSインストール対応や、また契約期間に制限がない点が特徴となる。先に紹介した高可用性、高セキュリティ、拡張性の高さなども、他のVPSサービスにはないServersMan@VPS Perfectだけの特徴だ。

表3 ハイパーバイザ型仮想化を採用する他VPSサービスとのスペック比較
サービス 初期費用 月額料金 最短契約期間 無料期間 任意のOS利用 メモリ ディスク容量 IPアドレス数 IPv6対応 転送量制限
ServersMan@VPS Perfect なし 3,310円 なし 最大1か月 可能 1GB 50GB 最大2個 あり なし
K社サービス なし 2,100円(3か月契約の場合) 3か月 なし 対応予定 2GB 100GB 1個 なし なし
S社サービス(メモリ1GBプラン) 2,980円 1,480円 3か月 2週間 不可 1GB 30GB 1個 なし なし
海外L社サービス(メモリ1GBプラン) なし 39.95ドル なし なし 可能 1GB 40GB 1個(追加1アドレスあたり1ドルで追加可能) あり 400GB/月
海外P社サービス(メモリ1GBプラン) なし 20ドル なし なし 可能 1GB 24GB 1個 あり 160GB/月

ServersMan@VPS Perfectはどのような用途に向いている?

 このような特徴を持つServersMan@VPS Perfectであるが、どのような目的での利用に向いているのだろうか? まず考えられるのが、Webサーバーとしての利用だろう。デフォルトのスペックは一般的なWebサイトであれば問題なく運用できるレベルであり、またメモリがやや心配な場合はオプションで2GB/4GBに変更もできる。Webアプリケーションを稼働させたり、アクセスが多いサイトを運営する場合は複数台の仮想マシンとロードバランサーを用いて負荷を分散させたり、データベースとWebサーバーを別の仮想マシンで稼働させたりと、柔軟な構成を実現できる。

 また、開発用のテスト環境としての利用もおすすめだ。環境を複製できる「クローン」機能を用いてスナップショットを作成したり、開発ブランチごとに別のサーバーを用意する、といった作業が簡単に行える。

 そのほか、ややイレギュラーな使い方となるが、ServersMan@VPS PerfectではWindowsをインストールすることも可能だ。もちろん別途Windowsのライセンスが必要であり、またいくつかの制限もあるのだが、たとえばインターネットからアクセスできるWindows XP環境が必要という場合に対応できる(図2)。

図2 ServersMan@VPS PerfectではWindowsも動作する
図2 ServersMan@VPS PerfectではWindowsも動作する

 いっぽう、グループウェアや小規模なメールサーバー、FTPサーバーといった小数の特定ユーザーにのみ提供するサービスについては、もちろん運用は可能だが、ややオーバースペックかもしれない。このようなサービスについては、ServersMan@VPSのProプランでも十分に運用可能だろう。

 なお、ServersMan@VPSおよびServersMan@VPS Perfectで提供されるサービスをまとめたものが表4だ。ServersMan@VPSのProプランとServersMan@VPS Perfectはスペック的には近いため、選択を迷うかもしれない。その場合、必要なメモリ容量やOSに注意して選択を行えば良い。

 ServersMan@VPSの場合、「保証メモリ」が確実に使えるメモリであり、「最大メモリ」はサーバー全体でメモリに余裕がある場合に利用できる最大メモリ容量である。そのため、「最大メモリが4GB」の場合、常に4GBを利用できるわけではない。また、ServersMan@VPSでは仮想メモリが利用できないため、メモリを使い切ってしまった場合動作が不安定になる。メモリを多く利用するソフトウェアを利用する場合はServersMan@VPS Perfectを選択し、オプションでメモリ容量を変更するのがおすすめだ。

 また、OSについてはどちらもCentOS、Debian GNU/Linux、UbuntuというメジャーなLinuxをサポートしているので、あまり問題にはならないだろう。もしFreeBSDやそれ以外のOSを利用したい場合はServersMan@VPS Perfect一択となる。

表4 ServersMan@VPSとServersMan@VPS Perfectの違い
サービス ServersMan@VPS ServersMan@VPS Perfect
Entryプラン Standardプラン Proプラン
仮想化方式 OS仮想化 ハイパーバイザ
OS CentOS、Debian GNU Linux、Ubuntu(それぞれ32ビットおよび64ビット) CentOS、Debian GNU Linux、Ubuntu(それぞれ32ビットおよび64ビット)、FreeBSD、そのほか任意のOS
メモリ 保証メモリ256MB、最大メモリ1GB 保証メモリ512MB、最大メモリ2GB 保証メモリ1GB、最大メモリ4GB 1GB(オプションで変更可能)
HDD 10GB 30GB 50GB 50GB
利用できる仮想マシン数 1 最大5
GUI管理ツール なし オプションで利用可 なし
利用できるIPアドレス数 1 2 4 2
月額料金 490円 980円 1,980円 3,130円