毎月進化する490円/月のVPS「ServersMan@VPS」をオンラインストレージやVPNで活用しよう
近年、低価格のVPSサービスが注目を浴びている。従来このようなサービスは海外の事業者からしか提供されていなかったが、最近では複数の国内事業者が低価格ながら十分なスペックを持つVPSサービスを開始している。そのなかで、月額490円からという価格設定やストレージサービスとの連携機能、毎月行われる機能強化などを特徴とするVPSサービスがDTIの「ServersMan@VPS」だ。
VPSはレンタルサーバーサービスの一種で、仮想化システムを用いて1台のサーバー内で複数の仮想サーバーを稼働させ、仮想サーバー単位でユーザーへの貸し出しを行うというものだ。1台のサーバーを複数のユーザーで共有するという点は共有型のレンタルサーバーと同じだが、ユーザーは1つの仮想サーバーを専有でき、そのroot権限を利用できる。そのため、サーバーの設定やソフトウェアのインストールを比較的自由に行えるのが特徴である。
最近では節電が求められていることもあり、オフィスや家庭においてサーバー等の機器を常時稼働させることができない場合も多い。そのような環境において常時稼働させたいサービスがある場合、それをVPS上で動作させることは有力な選択肢となり得る。VPSは自由度が高いため、専用サーバーの低価格な代替として利用できるほか、ServersMan@VPSには「ServersMan」というオンラインストレージソフトウェアがあらかじめインストールされており、ファイルサーバーとしての活用も容易だ。ServersManにはiPhone、Androidなどのスマートフォン向けクライアントも用意されており、スマートフォンからファイルをアップロードしたり、ファイルサーバー上のファイルをスマートフォン上で閲覧する、といった連携も行える。
今日では国内外を問わず多くの事業者からVPSサービスが提供されているが、実際の使用感はどのようなものか、低価格なプランでも実用に耐えるのか、といったことは実際に利用してみないと分かりにくい。ServersMan@VPSでは現在最大2か月無料のキャンペーンを行っており、最低利用期間の縛りもないため、とりあえず実際に試して使用感を確認してみることが可能だ。もちろん、必要としている要求水準に満たないと感じたならば即座に解約することもできる。本記事ではServersMan@VPSでもっとも低価格な「Entryプラン」(月額490円)を実際に契約して試用し、その使用感や実際の使用例などをレポートする。
目次:
ServersMan@VPSのサービス概要
ServersMan@VPSの詳細を説明する前に、まずはサービスの概要や利用できる機能を紹介しておこう。ServersMan@VPSには「Entry」および「Standard」、「Pro」の3つのプランが用意されている。それぞれの詳細は表1のとおりだ。
プラン名 | Entry | Standard | Pro |
---|---|---|---|
月額料金 | 490円 | 980円 | 1980円 |
OS | CentOS、Debian GNU/Linux、Ubuntu(それぞれ32ビット/64ビットの両方に対応) | ||
保証メモリ | 256MB | 512MB | 1GB |
最大メモリ | 768MB | 1.5GB | 3GB |
HDD容量 | 10GB | 30GB | 50GB |
IPアドレス(IPv4/IPv6) | 各1個 | 最大各2個 | 最大各4個 |
サーバー管理ツールの提供 | なし | あり |
利用可能なOSは各プラン共通で、CentOSおよびDebian GNU/Linux、Ubuntuのそれぞれ32ビット版および64ビット版が選択できる。また、IPv6対応やグローバルIPアドレスの提供なども共通だ。いっぽう、プランごとで異なるのはメモリおよびハードディスク容量である。メモリについては「保証メモリ」と「最大メモリ」の2項目があるが、「保証メモリ」は確実に利用できることが保証されているメモリ容量で、「最大メモリ」は仮想マシンを稼働させているサーバーのメモリに余裕がある場合にここまで利用できる、という容量となる。常にこの「最大メモリ」容量が利用できるわけではない点には注意が必要だ。実際に試用した限りでは「最大メモリ」の値に近いメモリ容量を利用できていたが、ServersMan@VPSではメモリのスワップが利用できないため、メモリを使いすぎると即座にメモリアロケーションエラーが発生し、アプリケーションが停止してしまう。そのため、メモリには余裕を持たせるように利用する必要がある。
StandardおよびProプランでのみ利用できる機能としては、まずIPアドレスの追加が挙げられる。どのプランも初期状態では1個のグローバルIPアドレスが利用できるが、追加申し込みを行うことでStandardプランでは最大2個、Proプランでは最大4個までのIPアドレスを利用できる。IPアドレスを追加した場合でも、特に追加料金はかからない。また、StandardおよびProプランではWebベースのGUIを備えたサーバー管理ツール「BlueOnyx」も提供される。ただし、BlueOnyxはCentOSを選択した場合しか利用できない。
ハードディスク容量の追加についてはすべてのプランでサポートされており、10GBあたり105円でいつでも追加/削除が可能となっている。追加容量に制限はなく、追加/削除は即座に反映される。また、同月内での追加/削除も可能だが、その場合月内の最大容量分の料金が請求される。
なお、サーバーのバックアップについては、同じくDTIが提供している有料のオンラインストレージサービス「ServersMan@Disk」を利用するバックアップ方法のみが提供されている。ServersMan@Diskは10GBで月額210円(10GBあたり105円での容量追加が可能)という低価格のオンラインストレージサービスで、Webブラウザからの操作でServersMan@VPSのバックアップをServersMan@Diskに作成したり、ServersMan@Disk上のバックアップからの復元する、といったことが可能となっている。
ユーザーからの要望に応える毎月のアップデート
ServersMan@VPSでは毎月のようにアップデートが行われ、スペックの向上や新機能の追加などが行われているのも特徴だ。これらのアップデートは、開発チームがユーザーの声を集め、それに応えるものとしてリリースされているという。今までに行われたアップデートとしてはIPアドレスの追加やメモリ容量の増加といった基本スペックの向上から、IPv6への完全対応、対応OSの追加、tunデバイスサポートといった自由度を上げるものなど多岐にわたっている(表2)。このアップデートは2010年7月から毎月行われているが、アップデートで性能が向上した場合でも料金は据え置きのままとなっている。
実施月 | アップデート内容 |
---|---|
2010年7月 | 「おまかせ移行サービス」 |
2010年8月 | 「IPアドレス追加オプション」、「DNS自由設定機能」 |
2010年9月 | 「利用可能な最大メモリ容量を倍増」、「IPv6での逆引き設定」 |
2010年10月 | 「対応OSにDebianを追加」、「ドメイン引き継ぎサービスで個人情報保護強化」 |
2010年11月 | 「CPUリソースを倍増」、「ディスク容量の追加サービスを開始」 |
2010年12月 | 「AirDisplay@VPS の開始」、「対応OSにUbuntuを追加」 |
2011年 1月 | 「利用可能な最大メモリ容量を倍増」、「抽選でHDD容量プレゼントキャンペーン」 |
2011年2月 | 「機能強化でIPv6に完全対応」、「iptablesのエントリー数拡張」 |
2011年3月 | 「オンラインストレージへのバックアップ機能」 |
2011年4月 | 「ディスクI/O性能の最適化」、「仮想ネットワークカーネルドライバ対応」 |
Windowsやスマートフォンとファイルをやり取りできるServersMan
前述のとおり、ServersMan@VPSには「ServersMan」というオンラインストレージサーバー機能が搭載されている。ServersManはDTIの親会社であるフリービットが開発・提供するオンラインストレージソフトウェアだ。Windows、iPhone/iPod touch/iPad、Windows Mobile、Android向けのソフトウェアが公開されているほか、対応NASやフォトフレームなども発売されている。
ServersManはその中央サーバー(serversman.net)と連携して動作するオンラインストレージソフトウェアで、serversman.netを経由してアクセスすることで、ファイアウォールやローカルネットワーク内にあるWindowsマシンや、無線LAN/3G回線でインターネットに接続されているスマートフォン内のファイルにインターネット経由でアクセスできるのが特徴となる。
ServersMan@VPSではVPSにグローバルIPアドレスが割り振られているため、serveresman.netとの連携によるメリットは少ないが、ServersManにはWebブラウザからファイルをアップロード/ダウンロードできるWebUI機能やWebDAVサーバー機能があり、面倒な設定無しにVPSをWindowsやMac OS X、各種スマートフォンからアクセスできるオンラインストレージとして利用することが可能だ(図2)。