LLVM Project、最後の2.xリリースとなる「LLVM 2.9」を公開

 LLVM Projectは4月6日、コンパイラ環境「LLVM(Low Level Virtual Machine) 2.9」を公開した。2.x系では最後のリリースとなり、最適化や性能が改善されている。

 LLVMの主要開発者であり、Apple所属のChris Lattner氏によると、LLVM 2.9はLLVM 2.8リリース時を超える大きな改良や新機能が含まれているという。特にポイントとなるのは、最適化機能やコード生成機能の改善やC++0xサポートの改良、そしてデバッガ「LLDB」のよりいっそうの成熟だという。

 LLVM 2.9では、ClangでType Based Alias Analysis(TBAA、型ベースエイリアス解析)が実装され、デフォルトで有効となった。またデバッグ情報の品質も改善され、中でもコード最適化でのデバッグ情報の精度を改善したという。このほか、Link Time Optimization(LTO)も大幅に改善され、Firefox 4のような大規模なアプリケーションに対しても利用できるようになったとのこと。RegionPass、TargetLibraryInfoインターフェースなども新たに加わっている。

 チームは同時に、2.9が2.x系最後のリリースとなることも明らかにしている。次のバージョン3.0ではGCCベースのCフロントエンドであるllvm-gccの削除が検討されているとのこと。CフロントエンドのClangやGCCプラグインのDragonEggといったプロジェクトがより優れたソリューションを提供できるようになったためだという。

LLVM Project
http://llvm.org/