プロセススケジューリングを改善する「Wonder Patch」が加わったLinuxカーネル2.6.38、リリース
Linus Torvalds氏は3月14日、Linuxカーネル2.6.38を公開した。「Wonder Patch」と呼ばれるプロセススケジューリングを改善するパッチが加わったほか、VFSにおけるスケラービリティの改善などが特徴。
1月6日に公開されたLinuxカーネル2.6.37から約10週間でのリリースとなった最新カーネルでは、「the patch that does wonders(素晴らしい働きをするパッチ)」と評される、自動的にプロセスをグループ化する機能が追加された。同一のセッションIDを持つプロセスはグループ化し、これを考慮してCPU時間を割り当てることでより効率的にCPU資源を利用できるという。これにより一定の条件下にあるデスクトップ環境で性能が大きく改善されるとのこと。
また、システムコールとファイルシステムを仲介するVFS(Virtual Filesystem Switch)のスケーラビリティも改善された。「dcache」(ディレクトリのキャッシュを保持する機構)や完全パス検索メカニズムが見直され、よりスケーラブルになっている。複数スレッドから負荷をかけられた環境だけでなく、単一スレッドのみが負荷をかけている状況でもより高速に動作するという。
このほかにも、BrtfsにおけるLZO圧縮やリードオンリースナップショットのサポートや、プロセッサのメモリ領域アロケーションを効率化するTransparent Huge Page(THP)、送信ネットワークの性能を改善するTransmit Packet Steering(XPS)なども特徴となる。XFS、CIFS、EXT2、SAUASHFS、NILFS2なども改善された。B.A.T.M.A.N.(Better Approach To Mobile Adhoc Networking)MeshプロトコルやAMD Fusionのサポート、グラフィックやWiFi関連を中心するドライバサポートの改善なども行われている。
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