1,000円を切る低価格で登場、「さくらのVPS」をチェック――サーバー構築編 8ページ
VPSにドメインを割り当てる
さくらのVPSにはあらかじめ「*.sakura.ne.jp」というドメインが割り当てられているものの、このドメインは自動生成されたものであるため、一般に公開する場合は使いにくいことが多い。そのためVPSをより本格的に運用するためには、独自ドメインを取得してVPSに割り当てておくと良い。
さくらのVPS自体にはドメイン取得サービスは含まれていないが、別途さくらインターネットではドメイン取得・管理サービス「さくらのドメイン取得」が用意されている。.com/.org/.net/.info/.bizドメインなら1,800円/年、.jpドメインは3,800円/年で利用できるので、VPSと一緒に契約しておくと良いだろう(図9)。
「さくらのドメイン取得」では、Webブラウザ経由でドメインの設定が可能だ。ドメインの設定としては、「NS」に「ns1.dns.ne.jp」および「ns2.dns.ne.jp」、AレコードにVPSのIPアドレス、MXレコードのPriority値には「10」を設定しておけば良い(図10)。
メールサーバーの設定
最後に、メールサーバーの設定について説明しておこう。VPSでメールを利用する場合、一般的には次のような運用形態が考えられる。
- SMTPサーバーのみを稼働させ、届いたメールはVPSにログインして確認する
- SMTPサーバーのみを稼働させ、受信したメールは別のメールアドレスに転送する
- SMTPサーバーとPOP3/IMAP4サーバーを稼働させ、別のマシンからメールの送受信を行えるようにする
1.の場合、外部からVPS経由でのメール送受信は行えないが、設定はもっとも容易だ。この場合、基本的なSMTPサーバーの設定のみが必要だ。また2.の場合は、これに加えてメールの転送設定を行えば良い。
一方3.の場合、POP3/IMAP4サーバーの設定が必要だ。また、外部からメールサーバーへののアクセスを許可するため、SMTP AUTHやSSLでの暗号化など、セキュリティを強化させる設定も必要となる。
以下では、さくらのVPSでにデフォルトでインストールされているMTA(メール転送エージェント。SMTPサーバーの役割をする)であるsendmailを利用し、それぞれの場合について必要な設定を説明する。
メール環境の構築・目次
- 設定ツール「sendmail-cf」のインストールと設定ファイルのバックアップ
- 基本的なSMTPサーバーの設定
- メールの転送設定
- 外部からメールを送信できるようにする(SMTP AUTHの設定)
- SMTP AUTHで「DIGEST-MD5」や「CRAM-MD5」を使用する
- POP3/IMAP4サーバーの設定
- dovecotでCRAM-MD5認証を使う
- メールの送受信および認証をSSLで暗号化
設定ツール「sendmail-cf」のインストールと設定ファイルのバックアップ
sendmailの設定には、「sendmail-cf」と呼ばれる設定ツールが必要だ。「yum install」コマンドであらかじめインストールしておこう。
$ sudo yum install sendmail-cf
sendmail-cfを用いた設定方法については「/usr/share/sendmail-cf/README」ファイルに記述されているが、設定項目は多岐に渡るため、必要がない限りはチェックしなくても良いだろう。また、sendmailの設定ファイルは「/etc/mail/」ディレクトリ以下に格納されている。このなかでもメインの設定ファイルとなるのが、「sendmail.mc」ファイルだ。このファイルには多くの設定項目が用意されているので、編集前にバックアップを取っておこう。
$ cd /etc/mail $ ls Makefile domaintable local-host-names sendmail.cf submit.mc virtusertable.db access domaintable.db mailertable sendmail.mc trusted-users access.db helpfile mailertable.db submit.cf virtusertable $ sudo cp sendmail.mc sendmail.mc.org ←バックアップのためコピーしておく