Windows 7に完全対応したインテル コンパイラー 11.1 2ページ

Visual Studioからインテル コンパイラーを利用する

 インテル コンパイラーをインストールすると、Visual StudioのIDEに「インテル(R) C++」および「インテル Parallel Debugger Extension (Debug Mode)」、「インテル Parallel Debugger Extension (Design Mode)」というツールバーが追加される(図8)。「インテル(R) C++」ツールバーはインテル コンパイラーの使用/不使用を切り替えたり、ヘルプを表示するもので、「インテル Parallel Debugger Extension」は並列プログラムのデバッグ用機能を呼び出すものだ。

図8 インテル コンパイラーをインストールすると、Visual StudioのIDEに3つのツールバーが追加される
図8 インテル コンパイラーをインストールすると、Visual StudioのIDEに3つのツールバーが追加される

 インテル コンパイラーを利用してソフトウェアをコンパイルするには、「ソリューション エクスプローラ」内で対象とするソリューションを選択し、「インテル(R) C++」ツールバーの「インテル(R) C++を使用」ボタンをクリックする(図9)。すると自動的に各種設定が変更され、以後はインテル コンパイラーを使用してコンパイルが行われるようになる。Visual C++でのコンパイルを行う設定に戻したい場合は、同様に対象を選択して「Visual C++を使用」ボタンをクリックすれば良い。

図9 「インテル(R) C++を使用」をクリックすると、選択中のソリューションでインテル コンパイラーが使用されるように設定が行われる
図9 「インテル(R) C++を使用」をクリックすると、選択中のソリューションでインテル コンパイラーが使用されるように設定が行われる

 また、ソリューション エクスプローラ内でのショートカットメニューにも「インテル(R) C++ コンパイラー・プロフェッショナル」という項目が追加される。ここから使用するコンパイラを切り替えたり、MKLやIPP、TBBといったコンポーネントを使用するための設定画面(「ビルド・コンポーネントの選択」画面)を表示することも可能だ(図10、11)。

図10 ソリューション エクスプローラ内でのショートカットメニューに追加される「インテル(R) C++ コンパイラー・プロフェッショナル」項目
図10 ソリューション エクスプローラ内でのショートカットメニューに追加される「インテル(R) C++ コンパイラー・プロフェッショナル」項目
図11 「ビルド・コンポーネントの選択」画面では、IPPやMKL、TBBの使用/不使用やプロジェクト構成、プロジェクト・プラットフォームなどを設定できる
図11 「ビルド・コンポーネントの選択」画面では、IPPやMKL、TBBの使用/不使用やプロジェクト構成、プロジェクト・プラットフォームなどを設定できる

 各種設定が完了したら、通常どおりVisual StudioのIDEの「ビルド」−「ソリューションのビルド」メニューなどを選択し、ビルドを行えば良い。なお、インテル コンパイラー 11.1以降ではビルド時のメッセージなどについても完全に日本語化されている(図12)。

図12 インテル コンパイラーのビルドメッセージ例
図12 インテル コンパイラーのビルドメッセージ例

コマンドラインからインテル コンパイラーを利用する

 インテル コンパイラーでは、Visual Studioを利用せずにコマンドプロンプトから直接コンパイルコマンドを実行することも可能だ。ただしこの場合、各コマンドが格納されているディレクトリにパスが通っている必要があるほか、適切な環境変数が設定されている必要がある。インテル コンパイラーにはこれらの設定を自動的に行ってくれるバッチファイル(iclvars.bat)が用意されているので、こちらを活用すると良いだろう。また、スタートメニューに登録される「IA-32対応アプリケーション用C++ビルド環境」を起動することで、パスや環境変数の設定が完了した状態でコマンドプロンプトが起動される(図13、14)。

図13 スタートメニューの「Intel(R) Software Development Tools」以下、「インテル(R) C++ コンパイラー・プロフェッショナル」内にある「IA-32対応アプリケーション用C++ビルド環境」からパスや環境変数の設定が完了した状態のコマンドプロンプトを起動できる
図13 スタートメニューの「Intel(R) Software Development Tools」以下、「インテル(R) C++ コンパイラー・プロフェッショナル」内にある「IA-32対応アプリケーション用C++ビルド環境」からパスや環境変数の設定が完了した状態のコマンドプロンプトを起動できる
図14 「IA-32対応アプリケーション用C++ビルド環境」を起動したところ
図14 「IA-32対応アプリケーション用C++ビルド環境」を起動したところ

 なお、インテル コンパイラー関連ファイルは、デフォルトではシステムドライブの「Program Files¥Intel¥Compiler¥<バージョン番号>¥<マイナーバージョン番号>¥」ディレクトリ以下にインストールされる。たとえばバージョン11.1.048の場合、インストール先は「Program Files¥Intel¥Compiler¥11.1¥048¥」となる。このディレクトリ以下のどこに何がインストールされているかをまとめたものが表1だ。また、用意されてる代表的なコマンドは表2のとおりだ。

表1 「Program Files¥Intel¥Compiler¥<バージョン番号>¥<マイナーバージョン番号>¥」ディレクトリ以下の構成(32ビット版の場合、抜粋)
ディレクトリ 説明
¥bin 環境設定用バッチファイル(iclvars.bat)
¥bin¥ia32 32ビット版のコンパイルコマンドおよび関連ライブラリ
¥Documentation 各種ドキュメント
¥include インテル コンパイラーが提供するライブラリ用のヘッダーファイル
¥ipp IPP関連ファイル(ドキュメントを含む)
¥lib インテル コンパイラーが提供するライブラリ
¥mkl MKL関連ファイル(ドキュメントを含む)
¥perf_headers インテル コンパイラー付属の「パフォーマンス ライブラリー」用ヘッダーファイル
¥Samples 各種サンプル
¥setup_c インストーラおよび関連ファイル(再インストール/アンインストールやインストールするコンポーネントの変更の際に使用)
¥tbb TBB関連ファイル(ドキュメントを含む)
¥VS Integration Visual Studio用プラグイン
¥VSDebugExtension Visual Studio用の拡張デバッガー「インテル Parallel Debugger Extension」
表2 インテル コンパイラーの代表的なコマンドラインツール
コマンド名 説明
icl.exe コンパイラ本体
xlib.exe ライブラリ管理ツール
xlink.exe リンカ