基本機能も高度な機能も備えたブログ・ソフトウェア、Habari

 ブログは、今、広く普及し、その一方でSlashdot効果などといった現象も生じている。そうした中で、Habariブログ・プラットフォームは、ごく普通の閲覧者にも集中豪雨的なアクセスにも対応でき、しかもブロガーが自分のブログを容易に管理できるブログ・ソフトウェアを目指している。

 ブログ・ソフトウェアと言うと、まず簡単なWYSIWYGインタフェースとバックエンドにあるデータベースにデータを保存するというところから始まり、補足的な機能を後付けしつつブログ・エンジンを高度化させていくというのが通例だ。しかし、Habariは違う。初めからコメント・スパムや過大なトラフィックなどへの対策を念頭に作られているのだ。

 Habariはオブジェクト指向プログラミング機能を持つPHP 5で書かれている。Habariの開発者たちが言うとおり、コアがオブジェクト指向だとコードが扱いやすいという利点がある。また、PHP Data Objects(PDO)により、MySQL、SQLite、PostgreSQLなど複数のデータベースをバックエンドにすることもできる。しかも、そのためにコードが増えたりパフォーマンスが低下したりすることもない。さらに、PDOであればSQLインジェクションによる攻撃で攻略される可能性も低くなる。

 Habariのインストールは簡単だ。しかも、解説書が充実している。その上、1つインストールするだけで、独立した複数のWebサイトに適用できる。つまり、Webサーバー上の貴重なスペースを節約でき、さらに保守作業も単純化できるのだ。アップグレードが必要なときは、インストールした1つのHabariをアップグレードするだけですべてのサイトが自動的に最新バージョンになる。

機能

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Habariのダッシュボード habari2_thumb.png キーボードで操作するメニュー

 ほとんどのブログ・ソフトウェア同様、Habariも静的なページを作ったり、既存のブログ・エントリーやページを変更したり、コメントを縦覧したり(承認、不承認、スパムとしてマーク)、タグを管理したりすることができる。また、同梱されているテーマは3種類だけだが、同プロジェクトのwikiにそのほかのテーマも用意されている。

 Habariの管理コンソールは単純で、ダッシュボードと呼ばれる表示領域は初め空になっている。ここで、Core Dash Modulesプラグインをアクティブにすると、最近のコメント、最近のブログ・エントリー、最近のログ・エントリー(ログインなどの操作、ユーザーの作成と削除、ブログのポストと削除などの記録)が表示される。このプラグインはインストール済みで、アクティブにするだけで使える。

 Habariの管理コンソールは、キーボードから手を離さずに操作することができる。管理インタフェースの左上隅に折りたたまれたメニューがあり、ここからブログ・エントリーの書き込みや静的ページの作成など種々の管理作業に入ることができるのだ。マウスを使うのではなく、「Q」キーを押してメニューを開き、作業は対応する数字や文字キーを押して開始する。

プラグイン

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プラグイン管理画面

 プラグインを選ぶときは、まず「Q」キーを押し、次いで「P」キーを押す。開いたページは、Active PluginsとInactive Pluginsの2つのセクションに分かれている。Habari 0.5には、現在、10種類のプラグインが同梱されている。インストールした直後は、どのプラグインもInactive Pluginsセクションにある。アクティブにするときは、右側にあるActivateボタンをクリックする。アクティブになったプラグインはActive Pluginsセクションに移り、その右側には今度はDeactivateボタンが表示される。設定が必要な場合は、そのためのプルダウン・メニューも表示される。

 Media Siloという種類のプラグインは、FlickrやViddlerなどメディア・ストレージWebサイトにあるファイルにアクセスするためのもの。ただし、FlickrやViddlerのコンテンツを取り込むにはそれぞれのサイトのアカウントで認証を受ける必要がある。認証が済んでいれば、新しいブログ・エントリーやページを作る際に画像やビデオ・クリップの縮小画像が表示される。なお、Habari Media Siloプラグインは、ローカル・マシンからアップロードしたコンテンツを表示する。

 筆者がMedia Siloプラグインを試行した限りでは、Flickrを除いて、いずれもスムーズには動かなかった。Viddlerプラグインはロードが終わらず、コンテンツを表示できなかった。また、Habari Media Siloローカル・コンテンツ・プラグインはルート・ディレクトリーのコンテンツを何もアップロードできない。ただし、サブディレクトリーにある画像はアップロードできるので問題はない。アップロードできるファイルの種類についての説明がないので、ODTファイルをアップロードしてみたら、プラグインが応答しなくなった。また、アップロードしたコンテンツを削除する方法もない。

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Flickr Media Siloプラグイン

 また、WordPress ImporterとSerendipity Importerというプラグインも役に立つ。WordPress Importerを試用してみたが、筆者のブログの全ポストと23,000件ほどのコメントを問題なくインポートすることができた(WordPressはこれらコメントのほとんどをスパムとしてマークしたが、削除はしなかった)。

 スパムと言えば、HabariにもSpam Checkerというプラグインがあり、コメントの中にスパム・パターンがあるかどうかをチェックすることができる。Habariのコメント・システムでは、すべてのコメントはモデレーション・キューに入れられ、管理者の承認がなければサイトには表示されない。しかし、コメントが既知のパターンに一致すると、そのコメントはモデレーション・キューには入らない。

 Habariでは、訪問者はWebサイトに登録できず、その名前、電子メール、Webサイトの詳細はクッキーの形で記録される。これにはユーザー管理の時間を節約できるという利点があるが、その反面スパマーがブログをオーバーランさせるのも容易になる。しかし、Habariの単純なパターンマッチング方式スパム対策システムで、そのおそれは少なくなるはずだ。

 こうした組み込み済みのプラグインのほかに、Wikiでもプラグインが提供されている。

まとめ

 Habariは主流のブログ・ソフトウェアとは一線を画し、あくまでも使いやすいインタフェースでページやブログ・エントリーの作成ができる単純なブログ・プラットフォームを目指している。リリース1.0はまだ遠いが、安定性と機能は十分。キーボードから使える管理インタフェースと同梱されているプラグインも注目に値する。

 Habariのプラグインは、数ではWordPressなどの主要ブログ・ソフトウェアにかなわないかもしれないが、優れたものがいくつかある。中でもMedia SiloプラグインとSpam Checkerプラグインはいい。ひと言で言えば、ブログ界の現状から見て、Habariは優れたツールである。

Linux.com 原文(2008年9月5日)