BEAがOracleに1株21ドルでの買収額を逆提示――「提示額に応じるならOracle以外とも交渉」

 米国BEA Systemsの取締役会は10月25日、同社に買収を提案したOracleに対し、Oracleの提示額より4ドル高い、1株当たり21ドルという買収金額を提示したと発表した。

 BEAは声明の中で、「1株当たり17ドルでBEAを買収するというOracleの一方的な提案は、きわめて当社を過小評価している。したがって(Oracleが提示してきた買収額は)株主の利益につながらないと当社は今でも考えている」と述べている。

 Oracleは10月23日、総額67億ドルの“太っ腹な”買収案の受け入れについて、BEAに対し28日までに回答するよう期限を設定した。またOracleは、買収プロセスを長期化させないことを示唆している(関連記事)。

 しかしBEAは、同社の既存資産と将来のビジネス展望を踏まえれば、買収額はより高額になると述べている。同社によれば、「フォーチュン500企業」の75%が同社のエンタープライズ・ソフトウェアの顧客であり、現金準備高は10億ドルに達しているという。また、現状で負債は抱えていないとしている。

 仮に1株21ドルでOracleがBEAを買収する場合、買収額は約83億ドルに膨れ上がる。なお、BEA株は25日正午の時点で、1株17ドル60セントで取り引きされている。

 BEAは、投資顧問のGoldman Sachsに相談して、1株21ドルという数字をはじき出したという。同社は、この価格に応じる意思のある第三者に合併契約案を提供することを代理人に許可している。BEAは、「この契約は成立する見込みがそれなりに高い」と述べている。

 OracleがBEA買収に成功すれば、Oracleのミドルウェア分野での地位は大幅に高まることになる。OracleにとってBEAの一部の資産は、Oracle製品と統合することで顧客へのより優れた製品提供に役立つが、両社の製品はアプリケーション・サーバ、ESB(Enterprise Service Bus)といった主要カテゴリーで重複している。

 ニュークリアス・リサーチのシニア・アナリスト、デービッド・オコンネル氏は、たとえ買収価格が上がっても、OracleのBEA買収には大きなメリットがあると語る。BEAを買収すれば、OracleはBEAの顧客基盤とテクノロジーを手に入れることになり、これらはいずれもOracleのFusionミドルウェアとSOA(サービス指向アーキテクチャ)製品にとって大きく貢献するというのが同氏の見解だ。

 BEAのいくつかの製品・技術は合併後に消滅する可能性があると一部から指摘されていることに対しても、オコンネル氏は「既存顧客に大きな混乱はないだろう」と述べている。

(クリス・カナラクス/IDG News Service ボストン支局)

米国BEA Systems
http://www.bea.com/
米国Oracle
http://www.oracle.com/

提供:Computerworld.jp