Dell、顧客のサーバ仮想化を支援するコンサル・サービスを強化――仮想化機能組み込み型サーバも年内に提供開始
Dellは、顧客の仮想化環境構築を支援するコンサルティング・サービスを正式に体系化したことで、サービス面での強化を図っている。仮想化環境のキャパシティ・プランや、VMwareの仮想化ソフトウェア・スイート「VMware Infrastructure 3」をサーバにプリインストールするサービス、バックアップ環境を含めたプランニングなど、顧客の要望に応じてサービスを迅速に提供できる体制を整備した。また、サービスを体系化した際に、VMware認定技術者(VCP)を現在の3倍に増員している。
発表会の冒頭、Dellのエンタープライズ・マーケティング本部で本部長を務める桜田仁隆氏は、「サーバのCPU使用率は平均すると20%を下回る状況だ。しかし、VMwareのESX Serverでサーバを仮想化した顧客では、平均して60%以上にCPU使用率が向上している」と、サーバ仮想化の有用性をアピール。そのうえで、仮想化環境の構築を最適化するサーバ製品として紹介したのが、AMDのクアッドコアOpteronプロセッサ「Barcelona」(開発コード名)を搭載した最大2CPUのサーバ「PowerEdge 2970」と最大4CPUのサーバ「同6950」である。
2006年10月にDellとAMDが戦略的パートナーシップを締結して以降、Opteronプロセッサを搭載したDellのサーバは3製品ある。そして今回、Dellは、今年9月にAMDが発表したBarcelonaに既存製品でいち早く対応したことを明らかにした。
Dellによれば、サーバ仮想化では「高いパフォーマンス」「大容量メモリ」「低消費電力」がカギを握るという。こうした点においてBarcelonaは、仮想化環境におけるメモリ空間制御を補完する機能「Rapid Virtualization Indexing(RVI)」を実装したことで、ESX Serverのオーバーヘッドを軽減し、RVI機能を利用しない場合と比べて、パフォーマンスを10~20%向上させることができる。
発表会では日本AMDからも説明がなされた。同社エンタープライズビジネスデベロップメント本部本部長の多田和之氏は、RVI機能について、「何百、何千とサーバがあるデータセンター内では、10~20%もパフォーマンスに差が出ることは影響が非常に大きい。当社のラボでは性能が30%アップした例もある」と語り、その性能をアピールした。Dellからすれば、サーバ製品にBarcelonaを新たに搭載したことで、ハードウェア・レベルでの仮想化機能の最適化がより進んだ格好となる。
新製品としては、年内にもESX Server 3iを組み込んだサーバの提供を予定している。ESX Server 3iは、従来必要だった「Red Hat Enterprise Linux 3」ベースのサービス・コンソールが不要になったことで、ハイパーバイザを直接ハードウェア上で動作させることが可能。そのため、サーバ・ベンダーは、サービス・コンソールに依存せず、仮想化機能をあらかじめ組み込んだサーバを提供することができるようになる。
新製品は、Opteronを搭載した4つ目のサーバ製品となる。プロセッサにはBarcelonaを採用し、メモリ容量やI/Oスロットを増加。プロセッサとしての機能のみを提供するディスクレス環境にも対応するという。
(山上朝之/Computerworld)
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