「ITのシンプル化で“攻め”のIT投資を」――来日したDell会長が力説

 Dellは10月29日、同社の新しいグローバル戦略「ITのシンプル化(Simplify IT)」構想を発表した。

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Dellの会長兼CEO、マイケル・デル氏。「ITシンプル化はわれわれの“哲学的戦略”だ」と力説した

 同戦略は企業の複雑化するITインフラを簡素化し、非効率な作業を削減することで、生産性の向上やビジネスの拡張に、金銭的/人的リソースを集中させるというものである。具体的には「ITの迅速な配備」「ITの効率的な運用」「ITの堅実な発展」を3本柱に、時間/予算/人材の有効活用を実現させるという。

 発表に登壇した同社会長兼CEOのマイケル・デル氏は、「ITをシンプル化させれば、企業は新規ITに積極的に投資できる」と語った。

 デル氏は、「企業のIT予算の70%は、既存システムのメンテナンスやサポートに利用されており、新規IT投資はIT予算のわずか30%だ。この構造を変革するには、ITインフラを“標準化”“統合化”“自動化”させ、簡素化(シンプル化)させなければならない。実際、ほとんどの企業が複雑化したITに頭を痛めている」と語り、ITをシンプル化することの必要性を力説した。

 デル氏は企業のITが抱えている問題として、ソフトウェア/ハードウェア/サービスが異なったベンダーから提供されている点を挙げた。

 「極端な話、部門ごとで利用しているアーキテクチャが異なるため、ほとんどのIT予算をメンテナンスに費やしている企業もある。われわれはこのような企業のIT全体に対し、エンド・ツー・エンドで製品やサービスを提供していく」(デル氏)。

 なお、顧客ニーズによってはDellのパートナー・ベンダーの製品/サービスも提供する可能性もあるという。

 一方、ITのシンプル化を掲げる以前よりDellは、標準化されたIAサーバによる「スケールアウト戦略」を打ち出している。同戦略は顧客のビジネスの成長に合わせ、サーバを追加していくというものだ。

 スケールアウト戦略とITのシンプル化戦略の違いについてデル氏は、「ITシンプル化は顧客企業の潜在的な問題を包括的に解決し、ビジネスを成長へ導くもので、われわれの“哲学的戦略”だ。単に企業のサーバ数を削減するというレベルではない」と説明した。

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ITシンプル化評価ツールのWebサイト(英語版)。日本語版は11月中に開始される予定

 また、同社は顧客が自社のIT環境を把握/診断するためのITシンプル化評価ツールを開発したことも明らかにした。

 これは、ITライフサイクルのすべての場面における効率性や、ITスタックの各階層における管理能力をはじめ、現在の柔軟性などを計測するものだ。なお同ツールは、ユーザーのWebブラウザから無料で利用できる。

(鈴木恭子/Computerworld)

Dell
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提供:Computerworld.jp