SAP、BIベンダーのBusiness Objectsを67億9,000万ドルで買収

 ドイツのSAPは10月7日、BI(ビジネス・インテリジェンス)ベンダーのBusiness Objectsを、総額48億ユーロ(67億9,000万ドル)で買収することで両社が合意したと発表した。

 SAPは今回の買収で、同社のソフトウェアとBusiness Objectsが持つBIツールを統合し、経営状況をリアルタイムで追跡できるソフトウェアを顧客に提供できるとしている。

 SAPでCEOを務めるヘニング・カガーマン氏は、買収発表後の記者会見で、「Business Objectsを買収することで、BIツールを統合したソフトウェアを、(パートナー企業と共同開発する場合と比較して)迅速に提供できる。顧客は経営全体をふかんできる、統合されたソフトウェアを求めている」と語った。

 買収後、Business ObjectsはSAPグループの傘下に入るが、独立した組織として運営されるという。カガーマン氏は、「両社が重複する分野はほとんどない。(買収によって)大規模な組織再編は行わない」と説明している。

 Business ObjectsでCEOを務めるジョン・シュワルツ氏は、「今後われわれは、SAP製品とスムーズに連携できるよう、ツールを開発していく」と語った。なお買収後もBusiness Objectsは、自社のBIツールをSAPの顧客以外にも提供していく予定だという。

 SAPは昨年1月、「2010年までに顧客数を4倍、新製品による売上げを総売上げの50%にまで引き上げる」という戦略を掲げている。その一環として同社は先月、中規模企業向けホスティング型のERPスイート「SAP Business ByDesign」をリリースし、新たな顧客獲得をねらっている。

 一方、SAPの最大の競合相手である米国Oracleも、今年3月にBIベンダーのハイペリオンを買収している。こうした背景から、SAPは競争力を強化するため、今回の買収に踏み切ったようだ。

 シュワルツ氏は「SAPとBusiness Objectsが1つになれば、幅広い顧客層を網羅することができる。両社のビジネス・パートナーを合計すると、5,000社以上に上る」と語り、買収のメリットを強調した。

 ただし、買収後の具体的な製品ロードマップは明らかにされていない。会見でソフトウェア・リリース時期に関する質問を受けたカガーマン氏は、「買収はまだ正式に成立しておらず、(製品ロードマップを)発表するには時期尚早だ」と述べた。

 なお、ユーロネクストにおける先週金曜日のBusiness Objects株の終値は35ユーロだったが、SAPの買収価格はこの株価に20%上乗せの、1株当たり 42ユーロとなる。今回の買収はすでに両社の取締役会の承認を得ており、規制当局の認可を経て、2008年第1四半期までに完了する見通しだ。

(ピーター・セイヤー/IDG News Service パリ支局、マーク・フェランティ/IDG News Service ニューヨーク支局)

SAP(ドイツ)
http://www.sap.com/
Business Objects
http://www.businessobjects.com/

提供:Computerworld.jp