Pentaho、オープンソースBIスイートの最新版をリリース

 BI(ビジネス・インテリジェンス)ソフトウェア・ベンダーの米国Pentahoは10月10日、BIスイートの最新版「Pentaho Open BI Suite 1.6」を発表した。BIメタデータ・レイヤを搭載し、エンドユーザーでもアドホック・クエリやリポートを容易に作成することができるという。

 アドホック・クエリの作成は、BIソフトウェアの基本的な機能である。BIソフト・ベンダーであるBusiness ObjectsやCognosなどの製品には、同機能が以前から搭載されていた。ベンタナ・リサーチでバイスプレジデント兼リサーチ・ディレクターを務めるデビッド・ストダード氏は、「PentahoのBIスイートにアドホック・クエリが追加された意味は大きい」と指摘する。

 「(アドホック・クエリが追加されたことで)PentahoのBIスイートは、他社製品に対して競争力を持ったといってよい。今後PentahoのBIスイートは、エンタープライズ・ツールとして認識されるようになるだろう」(ストダード氏)

 Pentahoでマーケティング担当バイスプレジデントを務めるランス・ウォルター氏は、BIメタデータ・レイヤを利用すれば、「顧客」や「地域」といったビジネス用語に対応する、再利用可能な定義を企業のIT管理者側で作成できると説明する。

 ウォルター氏によると、BIメタデータ・レイヤで作成された定義を利用することで、データベースやSQLクエリの仕組みを理解していないエンドユーザーでも、自分でクエリを作成することができるという。

 「ビジネス・ユーザーは、『北東地域で過去2四半期間に受けた注文内容を見たい』といったクエリが実行できる機能を求めている。Open BI Suite 1.6を利用すれば、IT管理者が用意したBIメタデータ・レイヤをベースに、こうした要望に対するリポートも作成できる」(ウォルター氏)

 ウォルター氏は、実は、こうしたリポート機能はBIツールでは目新しくないとしたうえで、「同機能がオープンソースで提供され、Webサイトからダウンロードできるようになった意義は大きい」と語った。

 Pentahoのメタデータ・レイヤは、オブジェクト・マネジメント・グループ(OMG)のCommon Warehouse Metamodel(CWM)仕様をベースにしている。

 CWMはユーザーが新しいメタデータ・モデルを習得することなく、各種のBIツールを容易に切り替えられるようにするために開発された仕様である。

 カレント・アナリシスで主任アナリストを務めるジェームズ・コビエラス氏は、「PentahoがCWM仕様を採用したことは、評価に値する」としながらも、「CWM仕様は市場でほとんど受け入れられていないため、その価値は未知数だ」と指摘する。

 一方、ストダード氏はコビエラス氏よりも楽観的だ。ストダード氏は、PentahoがCWM仕様を採用したことは、「CWMに対する信任投票だ」と語っている。

 Pentahoにとって最大のライバルは、同じオープンソースBIベンダーの米国JasperSoftだろう。JasperSoftのWebサイトに記載されている情報を見ると、Pentahoとは異なるビジネス・モデルを採用していることが伺える。

 JasperSoftは、基本バージョンのソフトウェアをオープンソース・ライセンスに基づいて無料で提供する一方で、アドホック・リポーティング機能などを搭載した上位版を有料ライセンスで提供している。

 なおOpen BI Suiteのサブスクリプション料金は、4CPU/1モジュール当たり1万2,000ドルからとなっている。

(ジェームズ・ニコライ/IDG News Serviceパリ支局)

米国Pentaho
http://www.pentaho.com/

提供:Computerworld.jp