OpenAjaxアライアンス、マッシュアップの実現に向けた取り組みを披露――セキュア・ハブやレジストリ機能、モバイルAjax構想などを明らかに

 Ajax(Asynchronous JavaScript and XML)の普及促進と標準化を目指す業界団体のOpenAjaxアライアンスは9月24日、本格的なマッシュアップ環境の実現に向けた取り組みを明らかにした。

 同アライアンスのオペレーションズ・マネジャーで、米国IBMのWebアーキテクトでもあるジョン・フェライオロ氏は24日、カリフォルニア州サンタクララで開催中の「AjaxWorld Conference & Expo 2007 West」(9月23~26日)で講演し、OpenAjax Hub 1.0とそれに続くバージョン1.1の詳細な内容を明らかにしたほか、OpenAjax RegistryやAjaxに対応するIDE(統合開発環境)などのプロジェクトにも言及した。

 OpenAjaxアライアンスは、OpenAjax Hubをリリースすることにより、Ajaxツールキット間の相互運用性の問題を解消しようとしている。フェライオロ氏によると、既存のツールキットは、お互いに稼働しないよう妨害したり、場合によっては攻撃し合ったりすることもあるという。

 OpenAjax Hub 1.0では、同じWebページ内にある複数のツールキットを統合できるほか、ツールキット間でデータのやり取りも可能になる。また、次期バージョンの1.1では、信頼性の低いコンポーネントに対応するセキュリティ・レイヤが追加され、悪意のあるコンポーネントを排除できるようになるという。

 Ajaxライブラリ登録機能と発行(パブリッシュ)/引用(サブスクライブ)エンジンを搭載するOpenAjax Hub 1.0は年内に投入される予定だ。なお、バージョン1.1の承認は来年になる予定だが、フルインプリメンテーションは年内に提供される予定だ。

 フェライオロ氏は、「バージョン1.1の主な機能の1つは、セキュア・マッシュアップだ。セキュア・マッシュアップ・フレームワークの提供により、安全なマッシュアップが可能になる」と説明している。

 バージョン1.1には、IBMが開発したSMash(Secure Mashups)も搭載される予定で、サードパーティのマッシュアップ・コンポーネントを安全に取り扱うことができるようになるという。

 ちなみにOpenAjaxアライアンスでは、セキュリティ分野を担当するAjaxセキュリティ・タスクフォースを設置したことを明らかにしている。

 バージョン1.1には、各種フレーム間やクライアントとサーバの間で発行と引用を行う機能に加え、サーバからクライアントにデータを転送するためのプログラミング手法であるCometのサポートも盛り込まれる予定だ。

 一方、OpenAjaxアライアンスはOpenAjax Registryの開発も計画している。これは、複雑なAjaxアプリケーション内でJavaScriptオブジェクトの整合性を保持するためのAjaxツールキットおよびJavaScriptグローバル・オブジェクト登録認証を提供するもの。登録は、OpenAjaxインターオペラビリティ・ワーキング・グループによって管理され、今年秋から作業が開始される予定だ。

 OpenAjaxアライアンスは今週、「OpenAjax InteropFest」が行われたことも明らかにしている。これは、Microsoftなどの企業が自社のAjaxツールキットをテストし、OpenAjaxに適合しているかどうかを確認するもので、Microsoft Ajax Libraryが適合性テストに合格したという。

 さらにOpenAjaxアライアンスは、モバイルAjaxのためのタスクフォースを立ち上げ、この構想を成功に導くための計画をまとめた白書を作成したほか、モバイル・デバイス・サービスにアクセスするためのAPIの検討作業を開始する予定だ。このAPIは、モバイル・デバイス上で稼働する JavaScriptに対応する。モバイルAjaxワークショップは、9月28日に開催が予定されている。

 このほかにも、整合性を維持しながらAjaxアプリケーションを実行するための技術を担当するAjaxマネジメント・タスクフォース、検索エンジンの機能を最適化し、Ajaxアプリケーションをきちんと見つけ出せるようにするための技術を担当するタスクフォース、複数のAjaxツールキットとIDEを取り扱うための技術を担当するIDEタスクフォースも設置された。

 JavaScript関数や各種API、ウィジェットとその属性を記述する標準XMLファイルを開発しようとする取り組みも始まっている。ウィジェット・パレットなどのユーザー・インタフェース・コンポーネントを提供することによって開発者を支援するのがこのプロジェクトの目的だ。コードのコンパイルとJavaScript関数のタイプ・チェックに関する取り組みも開始される見通しだ。

 IDEタスクフォースには、Microsoft、Adobe Systems、アプタナから提案が出されているという。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

提供:Computerworld.jp